ブログ
2006年3月17日

五・七・十

カテゴリー: ピスカリア


五・七・十は、I邸の構造材の秘密。

I邸の構造材の材種は、スギとクリのみ。
そして、「幸せ柱」の尺三寸角以外、断面形状は、
・五寸角(スギ・クリ)
・七寸角(スギ・クリ)
・尺×7寸の平角(スギ)
の三種類のみである。
今度そんな目で、I邸の構造体を眺めてください。

設計作業も中盤に差しかかった頃、材木屋からこの提案があったとき正直頭を抱えた。
「イタリアンレストラン」だから、伝統構法とはいえどちらかというと線を細く作りたかったからだ。
しかし「たてものや」は、こうしたお題を結果的に楽しむ要素として消化していきたいと思っている。

限られた条件の中で、いかに自分が追求する空間を作るか。
これらの条件は、材の大きさに限らず、生活上の要請であったり、予算であったりするわけだが、「たてもの」という具体物を作るために様々な条件があるのは必然のことであって、それを豊かな空間として仕立てあげることが私たち「たてものや」の使命である。

また、この材の大きさのお題の趣旨を材木屋に深く聞いたわけではないけれど、おそらく山側の事情でもあるのであろう。
たてものがいろいろな要素のうえに成立する中で、お題や条件というのは、それぞれの人間模様、経済や社会的事情が重なったうえでのものなので、大切にしたい。
そしてその条件の一つ一つが空間の個性につながっていくので、納得のいく「お題」があればあるほどこちらも仕事が楽しかったりする。

逆にこれからご縁をいただく皆さん、自分から皆さんには、家や木を取り巻く社会的事情と自分の仕事の姿勢として、「伝統的手法」、「国産材」、「直営方式」といった「お題」をお願いすることになりますので、一つよろしくお願いいたします。