2010年5月31日
制約は最大の自由
カテゴリー: 今日のできごと
数年前、
ある建主さんについて、
生きる力を与えるひと
という記事を書いたのですが、
昨日の夕方数時間、
久しぶりにその方の家を
訪れました。
仕事の話はほんの数分、
いや数十秒(笑)、
友人もいらしていて、
大半は別のお話に
花が咲いたわけですが、
話題の中心は、音楽の話。
その方は、
身体に病を抱え、
しかも一部身体が不自由で、
身を心を軽くするために、
ハープを楽しまれているのです。
色々お話した中で
とくに印象的だったのは、
「制約は最大の自由」という話。
彼女のことが、
こちらの記事で紹介されていて、
その中に出てくる言葉です。
逆説的ですが、
今私の仕事と照らし合わせて、
とてもストンと来る言葉でした。
といいますのも、
彼女の場合と
少し意味合いが違いますけれども、
今私は、
「伝統的な建築技術を手段とする」
ことを理念の一つに掲げ、
いわばそうした制約を自らに
課しているわけですが、
それを制約と感じるというよりは、
その条件があることで
却って背中に
自由に羽ばたく
羽が生えてくるような、
そんな感じがしていたからです。
また、
予算、法律、敷地条件、
そして予算、予算…(苦笑)、
制約があるから
できない、ではなくて、
制約があるからこそ、
生まれ出る発想と工夫。
これがその建物にとって、
大切な宝物になったりもします。
できない、
とあきらめるのではなく、
できるように
やってみることで
自分自身の成長にも、
つながりますからね。
そう考えると、
「自由」って、
本当に深い言葉です。
ここの家を訪れるのは年数度。
いつもどこかしら痛いはずなのに、
彼女の曇りのない笑顔を見るたび、
いつも大事なことに
気付かされます。