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2011年3月29日

木の仮設住宅を作りたい

カテゴリー: 家づくりの理念

東日本を大きく揺らした
大地震から2週間以上が経ち、
復興に向けた芽が
出始めている今、
夢想していることがあります。

この先形になるかどうかは、
分かりませんが、
しかし考えを表に出さなければ、
形になることはありませんので、
この場に書き留めておきたいと思います。

それは「木の仮設住宅」。

深い付き合いのある大工が私に
仮設住宅の取り組みを
持ちかけてくれたのですが、

その瞬間、
これまで断片的に
夢想していたカケラたちが
頭の中でつながり始めました。

これから被災地に、
急いで大量に仮設住宅が
作り始められます。

今の状況を考えれば、
一刻も早く作る必要があるでしょう。

しかし一方で
鉄板とベニヤでできた
今の一般的な仮設住宅は
居住性の悪さが指摘されています。

住むのは2、3年でしょうが、
されど大事な2、3年。

そう考えた時に、
いつも私たちが使っている
木を使うことができないか、
と思うわけです。

どう作るか、
どんな形のものを作るか、
という技術的な話は
今ここでは置いておいて、
(ゆくゆくはしたいと思います)

今、山に木がたくさんあります。

間伐を待っている木が
たくさんあります。

日本全国、
そして被害が甚大な東北地方にも、
木はたくさんあります。

この際、
今多くは立ち行かなくなっている
日本の山を再生するためにも、
仮設住宅に日本の無垢の木を
とりわけ地元の木を
使うことはできないものでしょうか。

それによって様々な長所が、
思い浮かびます。

まずは居住性。

木は断熱性、調湿性といった
居住性に関わる機能面と
安らぎを与える意匠面を
持ち合わせた素材です。

木を活用することで、
少なくとも今の仮設住宅よりは、
居住性を高めることが
できるのではないかと思います。

次に再利用性。

木を使い、
手仕事で作る建物は、
昔の民家のように、
解体しても再利用できる
可能性を秘めています。

あまり考えたくはないですが、
次の災害の際の備えとして、
再び使うことができます。

仮に処分せざるを得ないとしても、
燃やせば暖を採ることができます。

次に環境負荷の低減。

生産に要するエネルギー、
あるいは廃棄の際に要するエネルギーは、
木は鉄やアルミなどに比べれば、
低い素材です。

そして木があり、
大工がいれば、
もうそこで形にできる。

エネルギーの問題に
直面している今こそ、
その点で優位な素材の利用を
進めていきたいものです。

費用や防火性の面など、
課題は多いといえますが、

同じような思いを持つ
木の建築人は多いようで、

実際同じような声を各方面で
聞き始めています。

思いを集結して、
何とか形にしていきたいですね。

実はこの話の続きとして、

以前この場でも書き留めた
里山の小さな家へと
つなげられないかと考えています。

イナカで
新規就農者を受け入れる住まいとして、

あるいはまちなかで、
おカネが少なくても実現できる
木の家として、

今こうして考えていることを応用し、
こちらもゆくゆくは、
ぜひ実現したい!
と思っています。