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2014年6月28日

空の下に出よう

カテゴリー: 家づくりの理念

先日某所にて、
江戸時代の古い民家を
拝見させていただきました。

お茶をいただきつつ、
その家の当主の方から、
数十年前、
その方が子どもの頃の
冬場の暮らしぶりについて
お話を伺う機会を
いただきました。

冬は家の外と中とで
ほぼ気温が同じ、

しかも家の方針が、
室内ではできるだけ
火を使わないという
暮らしだったらしく、

家の中は本当に
寒かったようです。

しかし当時、
それが当たり前だったので
何とも思わなかったと、

当時を懐かしむように
仰られていました。

とはいえきっと、
当時の暮らしぶりに戻そうとは
考えておられないでしょう。

しかしそのお話しを聞いて
改めて感じたことは、

私たちがその環境下で
暮らしていけるかどうかは、
「慣れ」の要素も
大きいのではないか、
ということです。

四六時中、
「快適」であるように
機械仕掛けで空気加工された
室内環境が当たり前の
私たち現代人は、

もうそれに
慣れてしまっているので、

恐らくその古民家には
暮らせないでしょう。

それともう一つ、
これは私の仮説なのですが、

冬場でもなぜ、
家の中と外とで
ほとんど気温の差がなくても
大丈夫だったかというと、

現代よりも圧倒的に、
外で身体を動かして過ごす時間が
多かったからではないかと
思っています。

これは夏場も然り、です。

例えば現代でも、
現場の職人さんは、
屋根が架かってるとはいえ、
基本的に吹きっさらしの
空調機械などない場所で
一日仕事していることが多いです。

だからやはり、
寒さ暑さに強い傾向を感じます。

一方で多くの現代人は、
建物の中で過ごす時間、
とくに机やパソコンの前にいる時間が
圧倒的に増えました。

建物の中で
ずーっとじっとしているので、
機械仕掛けで空気加工された
安定した快適さがないと
不快に思う。

そしてその環境に慣れて、
ますます機械仕掛けの空気加工が
手放せなくなる。

それはエアコン普及率
9割という実態が
物語っていると思います。

現代の家づくりの方向は、
家の外皮を分厚くし、
外に開く窓も小さくして、
家の内と外とを
できるだけ遮断しよう、
ということになっていますが、

ある程度は、
そういったことも
考えなければならないでしょう。

しかし
「省エネ」を求めるならば、

やみくもに外を
「遮断」するのではなく、

散歩したり走ったり、
畑に行ったり森に行ったり、
海に行ったり山に行ったり、

空の下にいる時間を
仕事や暮らしの中で
増やすことにも
目を向けようでは
ありませんか。

さあこれから現場。