クスノキの階段
K邸に着いて玄関の扉を開けると、清涼な香りがする。
クスノキの香りだ。
クスノキは樟脳の材料。
樟脳は防虫効果がある。
ちょうど階段下が収納になっているので、自然の防虫剤。
香りに比べ、クスノキの表情は意外にもおとなしい。
今日は玄関扉の打合せのために、葉山の現場に行く。
それとともに土地家屋調査士のMさんが、所員を引き連れて表示登記用の測量図を作るために現場に来た。
現地での作業をひととおり終わると、二人で海の方角へ。
葉山へ来るというので釣竿を持ってきたらしい。
それは用意がいい。
Mさん、さすがです。
遊び心を常に持っておられる。
私は先に現場をあとにしたが、後で成果を聞くと、キスが4匹ほどとのことでした。
今日の夕方、娘にせがまれて、クリスマスの飾り付けをした。
いつだったか東急ハンズで買ったニセモノのモミのワッカにいろいろ飾り付けをして、渡りあごのところにひっかけると、ぐっとクリスマス気分に。
作りながら、あ〜もう12月かいな、とつぶやく。
今年はほんとうに時の経つのが早く感じた。
手帳をパラパラとめくってみる。
すると、今年に入って予定の入っていない土日が一日しかなかった。
それほど充実していたのだろう。
今年もあと少し。
しかしあと少しで結末を迎える物語もあれば、これから始まる物語の準備もある。
今年最後の踏ん張りどころ。
ところで、伝統構法の家にクリスマスの飾りも悪くない。
影がきれいでしょ。
今日は珍しくずっと家で作業。
大学1年のときから使っている、事務机用の椅子がついにぶっ壊れた。
応急措置として、半径30cmないような円形の折りたたみ椅子に座っている。
ずっと座っていると、さすがに尻が痛い。
しかも、椅子が動かないということがこんなに苦痛とは思わなかった。
最近の椅子は、やっぱり人間工学的にちゃんと考えられているんだろう。
しかし、忙しいときに何でこうなるんじゃ〜。
たまらずアスクルで椅子を発注した。
昨日は第10回目を数える総会。
エコヴィレッジ鶴川も、早いもので、といったらいいのか、ようやく、といったらいいのか、とにかく折り返し時点。
この間、いろいろなことがありました。
これから1年、今度はどんな物語があるのだろうか。
さて昨日の総会は、半分共用部分の議論、半分は住民同士で管理規約等の読み合わせ。
管理規約等の読み合わせのとき、こちらはやることがないので、子どもたちと遊ぶ。
鶴川の子どもたちはとても人なつっこくて元気。
だからこちらもだいぶ楽しんでしまう。
(そのかわり、どおりで足腰が筋肉痛…。まあ、いい鍛錬だ。)
夜は飲み会。今度は大人たちとの交流。
いつものとおり(?)、Hさんが住んでからの夢をとうとうと熱く語る。
これが聞いていてとても面白い。夢が拡がる。
結局母屋を出たのは、午後10時過ぎ。
4時間もしゃべっていたのか。
自分も少しノドが嗄れているような。
とまあ、総会は、事前の準備はたいへんだけど、子どもたちとも、大人たちとも、皆と交流できるので、実は楽しみだったりする。
それと、来るたびに季節の移ろいをくっきりと五感で感じることができるのも、楽しみの一つである。
写真は現地に立つ柿の葉の落葉。
寒くなってきたから、温かい色合いの点描の絵。
自然界も、乙な演出をしてくださいますな。
群馬藤岡の五十嵐さん。
達磨釜で瓦を焼いている人です。
今朝、K邸の外構工事用に、欠けなどが入って屋根には使えない瓦をたくさん持ってきてくれました。藤岡から朝の7時に。
そしてまた仕事があるから、と言って藤岡にとんぼ返りしました。
「瓦は人様の頭の上にのせるものだから、心を込めて」が信念の五十嵐さん。
初めてお会いしたとき、この信念に心打たれました。
まさにその言葉を地でいっている方です。
五十嵐さんが焼いた瓦をあちこちで使わせていただいて、ありがたい気持ちでいっぱいです。
今回は地べたで使わせてもらいますが、これからもよろしくお願いいたします。
外構も楽しみ。
今日の午前の葉山の様子。
空気が乾燥してきたので、江ノ島もよく見える。
富士山もたまに見えることがある。
この光景、何時の季節でも、葉山はあくまでも葉山である。
先週開催された木の建築塾の、鳶職人の話の続き。
まずは山口政五郎さんの印象。
典型的な江戸っ子風情。親分肌。
どちらかというといかつい感じ(失礼)だが、言葉がとても丁寧。
お客様を大事にしている心が伺える。
言葉の歯切れもよく、話を聞いていて気持ちいい。
鳶は一昔前はまちの調整・相談役。
コーディネーターといった方が分かりやすいか。
足場をかけたり基礎を打つといった建設作業だけではなく、いざというときは冠婚葬祭などまちのイベントの段取り役だったそうだ。
だから鳶は、「カシラ」とも呼ばれる。
次に印象に残った言葉を幾つか羅列。
「金を出す奴は口出すな。金がなければ知恵を出せ。何もなければ汗をかけ。
…金を出す奴が口出すと、下の奴がシラけてしまう。」
この言葉、とても気に入った。
オレは知恵と汗を出そう。
「大工は、無から有を生み出す。鳶は無から有を生み出し、そしてまた無に帰る。」
はかない。
この日本の美意識に合う仕事。
そういえば、今年の夏、葉山の海の家「ブルームーン」の竹組みを見てとても気に入ったが、あれは鳶の仕事の延長やね。
「日本の建築文化は関西から来ている。だから関西のやり方は合理的であることが多い。」
なるほど。
「縄は切ってはいけない。切らなければ何回でも使える。」
「古くなった縄は、荒木田に混ぜるといい。枯れているからちょうどいい。」
どんなものでも最後まで使い果たす精神。
これを当たり前のようにやっていた。
今僕らが、「エコ」とか「環境共生」とか言っていることは、昔はごく当たり前に取り組んでいた行動規範であった。
酒匂さんの話を聞くと、「パーマカルチャー」もそうだ。
「もったいない」という心がけ。