2006年10月21日
小林保さんの家を後にした木の建築塾の一行は、藤岡にある共和建材の五十嵐さんのところに行きました。
五十嵐さんは、この場でもたびたび紹介させていただいていますが、昔ながらの「達磨窯」で一人燻し瓦を焼いている方です。
世間の大半の瓦が、釉薬を塗られガス窯の中で、同じ商品、どれも均一に生産される中で、この「達磨窯」で瓦を焼いている方は、日本全国見渡しても、ここを含めてもう2ヵ所しかありません。
私はその希少性だけではなく、自然にできる瓦の色むらと風合い、驚くほどの調湿効果とそれがもたらす耐久性、そして五十嵐さんの人柄に惹かれて、この瓦を使い続けさせていただいております。
「木の建築塾」を通じて、またここに来ることができてうれしい!
さて五十嵐さんの案内で、粘土に始まり瓦ができるまでの過程を一通り説明していただきました。
一枚一枚、手でこしらえる瓦の生板。
天日乾燥するときの土の収縮を読んで、瓦の生板を手でたたいて少し反らせます。
瓦をたたく手は、神のみぞ知る世界です。
家一軒で最低でも千枚以上は瓦を使いますが、これを一枚一枚やるのだから、驚きです。
後ろが瓦の生板。
手前が、天日乾燥させた板。
だいぶ収縮しますね。
また、生板の反りが天日乾燥によってほぼ真っ直ぐになっている様子がうかがえます。
これが達磨窯。
正面から見ると、達磨が座禅を組んでいるように見えるから、その名がついています。
これ自体、形の美しい芸術品ですね。
これに天日乾燥させた瓦を約千枚入れ、窯の両脇から薪をくべて、約千度の温度で瓦を焼きます。
1回につき薪を4t車に載る約半分の量使います。
その量を、何日間もかけて朝早くから熱い熱い窯の近くで一人でくべるのだから、本当に頭が下がります。
窯の中の様子。
天日乾燥した瓦を、窯の中に5段重ねて置きます。
その数約千。
窯の中の位置によって、微妙な色むらができるのです。
・・・・・
ここに来るたびに感嘆。
そして本日、五十嵐さんから思いがけない贈り物。
できることならばこの瓦でまちを覆いつくしたいと思うほど、提案し続け、使い続けていきたい瓦です。
望ム!後継者!