夏の夜の風を感じながら
この季節、仕事部屋で頭上をかすめる風が、なんとも気持ちがいい。
というわけで、風に乗って、風の話を思いつくままに。
毎週、杉板を焼いています。
杉を上手に、早く焼くコツは、火を風に乗せること。
風に乗った見えない火は、遠くまで、柔らかく板を焼きます。
板を焼いていると、客観的には灼熱の世界で過酷ともいえる状況なのかもしれませんが、風を感じ時を忘れ、一人別の次元の世界に行ってしまったかのような気になります。
自転車で旅に出ると、常に風と会話することとなります。
逆風のときのつらいことつらいこと、
そして風に乗ったときの、なんとも気持ちよいこと。
とくに海沿いの道を走るときは、風とケンカしたり、仲直りしたり、と頻繁に繰り返します。北海道を走ったときは、海沿いではケンカばかりでしたけどね(笑)。
別に旅という非日常ではなくても、日々のちょっとした自転車の利用でも、風とは‘トモダチ’になります。
‘ルララ、宇宙の風に乗る’という言葉で締めるこの歌は、私の大好きな歌の一つです。
この歌を聴くたび、この歌の詩が表す意味を空想するのですが、夢のある、楽しそうな空間や状況が思い浮かびます。
そう、風に乗れば、夢見心地。
一方で、風は、「風土」という言葉から連想されるように、その土地固有のものでもあります。
昔から、なぜというわけでもなく、「風」という字の形と意味、「カゼ」という響きが好きでした。
そして今、私は夏の夜の風を感じながら、風土、風景、風情、風流…、そして周りから目立たなくても夢を感じ、存在感のあるような、風のような仕事をめざしていきたいと、一人そうつぶやくのでした。