厨房
火気を使う厨房機器の床は、モルタル土間。
左官屋さんの仕事。
そして来週は壁にステンレスを貼り、自分たちで壁を塗った後、厨房機器等を搬入。具体的になりつつある。
さて、来週の土曜日は厨房の内部を自分たちで壁塗り。
楽しみだ。
私が属しているNPOにて、「フリーター・団塊フェア」が開催された。
これから大量に定年者を迎える団塊世代、フリーターが400万人以上と言われているが、その主力をなす団塊ジュニア世代。
彼らの仕事の受け皿として、就農林機会を考える、というイベントだった。
壇上に立った人の話を集約すると、「田舎は決して理想郷じゃないけど、だけど実際身体を動かしてやってみようぜ」という内容で、とても共感した。
‘書を捨てよ、町へ出よう’
それが実際に仕事に結びつくかどうかは本人次第だけど、生産の場を身近に感じる機会を作っていくことは、社会的に非常に意義のあることだと思っている。
今回の議論は農林業の話が多かったけれども、建物づくりの職人の話も同様だ。
このままでは、地域に根ざした素晴らしい建築技術が廃れていってしまう現状に対し、今日の話はとても参考になったし、勇気付けられた。
そして個々人にとっての「仕事」の意味と意義を改めて考えさせられた。
今日壇上に上がっている人たち、あるいは紹介された人たちを見ていると、いずれも自分の生き方に強い信念と確信を持ち、迷いのないすがすがしい姿であった。
今の時代、確かに仕事の選択は自由だ。
さらに、社会のしくみが巨大化し、複雑化し、細分化された今、自分の働いた成果、自分に対する評価を感じる機会が少なくなっている。
その分、自分の存在価値をどこに見出したらいいのか、一体自分は何に向いているのか分かりづらくなっているし、「自分探しの旅」に相当労力と費用が費やされている。
そして「自分探しの旅」の猶予期間を少しでも得るために、「フリーター」や「ニート」という現象として顕在化しているのであろう。
そうした状況の中で、生産の現場に出て、自分仕事、作ったものが目の前で評価され、喜ばれる体験をする場や機会を作っていくことは、「自分」を見つけるきっかけとして、大いに期待している。
そんなわけで、「きらくなたてものや」でも、品質や工程に影響のない範囲で、家づくりの現場で職人たちの息づかいを生で感じ、そして自分で手を動かしてみる機会を作っていきたいと思っている。
自分も「自分探しの旅」を迷いながらし続けたクチだ。
その結果、「伝統構法による家づくり」、「コーポラティブ方式」という帰着点を得たのだ。
追伸
昨日廃材で作った道具は、本日のイベントの札掛け用のものでした。
明日の催しに使う小道具を、廃材を利用して作る。
四寸角の柱の切れ端と、だいぶ前に何かの折に使おうと思って手に入れた厚さ八分の床材。
廃材も使いようで、生きたものになる。
木は、削り屑になるまでとことん利用できるのがいい。
そして天寿を全うして燃やせば燃料になる。
我が家の壁には、いわゆる「断熱材」はない。
そしてこれから設計する家にも、自分の住んでいる周辺の地方で仕事をいただくかぎりは、基本的には断熱材を入れるつもりはない。
そのかわり、壁は竹小舞(写真参照)を下地とする厚さ約7cmの土壁と通気層と表皮となる仕上げで、屋根は厚板と通気層と瓦で断熱性を確保する。
気密性は・・・、我が家の場合、基本的に外部は木製建具なので、なし!(笑)。
今まで、自分で住んできた感覚として、「夏は涼しいですよ」「冬は寒くないですよ」と言ってきたが、この家の作り方を伝え続けていくために、やはり科学的立証が必要だ。
今年から室内の1階と2階、そして屋外の温度、湿度を調査することにした。
自分でもその調査結果が楽しみだ。
ちなみに、本日21時現在の調査結果は以下のとおり。
なお、暖房は1階にあるガスストーブのみ。
屋外
気温:1.4℃
湿度:70%
室内(2階)
気温:18.8℃
湿度:45%
仕事をするうえでは、ちょうどいい感じ。
新年明けましておめでとうございます。
一昨日まで年を越す実感が全くなかったのだが、昨日大掃除をし、こうして新年を迎えると、不思議なもので新たな気持ちになるものだ。
さて今年の正月は、久しぶりにゆっくりと家族と過ごした。
おせち料理をにぎやかに食べ、昼間は家の中でかくれんぼ、夕方は近所の神社と寺に初詣。
神社では早々にお参りを済ませると、境内にあるイチョウの葉をかきわけ、銀杏拾いを始める。
子どもたちはイチョウの葉のじゅうたんの中で宝探しをするような気分だったようで、夢中でたくさん拾う。
結局約50ヶの収穫。
収穫物を全て自分の上着のポケットに詰め込んだので、ポケットの中に何ともいえない臭いが立ち込める。
しかも昨日の大掃除で柿渋を木建具に塗り、手にその残り香が染み付いていたので、相乗効果で手の臭いはすごいことに。
やはり銀杏と柿渋の香りは似ている。
というわけで、外はとても寒かったけど、子どもたちの元気に引きずられて、温かい正月であった。