2006年11月4日
「箱膳を体験しよう」という食育イベントに参加してきました。
場所はみずがき山の麓。
「みずがき…」といえば、「えがおつなげて」の主催です。
ちょうど去年の今頃ここへ来たときすごく寒かったのですが、今日はそうでもなく、むしろ暖かいくらい。
今年の11月はやはり暖かく感じます。
しかし紅葉はもう始まっていて、山々が美しく彩られています。
空気も澄んでいて、赤や黄色や緑などの向こうに、神々しいみずがき山を望むことができます。
さて「箱膳」。
「箱膳」とは、昔農村で行われていた食器の管理方法のようで、尺角の箱の中に自分が使う食器を収め、管理します。
そして箱膳により、自ずと食事作法が規定されます。
まずは食事の量。
箱膳の中に納められた料理が、自分に配分された食事の量です。
次に食べ終わった食器の洗浄。
食べ終わったら白湯を流し、残してある漬物でこすって洗います。
その白湯を飲み干した後は、布巾で水気をふきとって箱に収めます。
(食事前)
箱の中に食事が収められています。
(食事中)
箱の蓋をひっくり返して、そのうえに食事を並べます。
(食後)
食後は白湯と漬物で食器を洗い、その食器を箱に収めます。
ということで、箱膳にて食事を体験してみました。
まず印象的だったのは、参加者が10人ほど居たかと思うのですが、食事を始めて暫くの間、実に厳粛な雰囲気の中で、誰もしゃべることなく、黙々と食事をいただいていました。
箱膳でいただくときは、しゃべってはいけないという規則があるのか、思ったほどです。
(そういえば小学2年生のとき、「給食の時間はおしゃべりしてはいけない」という規則があったなあ)
確かに箱膳を前にすると、いい加減に食べてはいけない、と箱膳が言っているような、何か背筋が伸びる感じがします。
次に、建築的な視座から。
箱膳による食事様式がもし根付いたとするならば、家は小さくて済みます。
まず「食堂」というものが要らない。
みんなが集いくつろげる、居間的な空間があれば、そこで食事することができます。
それと食器があれこれ必要ないので、台所の収納も小さくて済みます。
箱膳とは、食事作法を教えてくれるとともに、小さな空間を豊かにしてくれる装置のような、そんな気すらしてきます。
さて、その箱膳。
実はもともと、地域の森林資源をどのように活用しようか、いろいろ議論をしているうちに出てきた発想が派生して今のイベントにつながっています。
森林資源を身近なものにするために、近くの山で採れた木を身近に使ういろいろなものに使っていこう、という考えのもと、いろいろな物語のある「箱」を作っていこうという話の一環でもあります。
ということで、森につながる今後の箱膳の展開、ぜひ楽しみにしてください。