空間の骨格が見えてきた
現在進行形のN邸の様子。
週に2、3度現場に足を運んでは、打ち合わせと確認の日々。
現場に居ると、時間が経つのが早いです。
今だいたい午前に行くことが多いのですが、あっという間に昼の時間。
現場は、荒壁土が乾き始め、床を貼り始めているところです。
だんだんと空間の骨格が見えてきました。
柿渋を塗った木も、だいぶ色が落ち着いてきています。
現在進行形のN邸の様子。
週に2、3度現場に足を運んでは、打ち合わせと確認の日々。
現場に居ると、時間が経つのが早いです。
今だいたい午前に行くことが多いのですが、あっという間に昼の時間。
現場は、荒壁土が乾き始め、床を貼り始めているところです。
だんだんと空間の骨格が見えてきました。
柿渋を塗った木も、だいぶ色が落ち着いてきています。
今日は一日焼杉作業。
板は全て焼き終えてしまったので、後はひたすら洗いの作業。
それと、隅材を焼く作業。
いずれもかがみながらの作業なので、ずーっと作業していると、腰に来ます。
これを書いている今も、部活の練習後のような、懐かしい疲労感を感じているところです。
しかし、写真のとおり、板を並べて外壁に貼られる姿を試してみると、改めてみなさんと手をかけてきてよかったなー、と思います。
上品な褐色。
黒く浮き出た年輪。
焼くことによって、ところどころ少し欠けた角が、古びた感じと柔らかい印象を与えます。
これは、塗装では絶対に出せない色と風合いです。
早く実際に外壁に貼られて三次元になる姿を見たいところです。
さて、こうして半年以上、毎週毎週続けてきた焼杉作業も、順調に行けばあと1日でおしまいです。
うれしいような、しかしとても寂しいような。
あと一日、残りの作業を堪能したいと思います。
空は、寂しさを醸し出す秋の夕空。
向こうに見える山々は、丹沢山系。
夕暮れが、すっかり早くなりました。
自然界の形をそのままに。
材木屋さんのご好意で、自然樹形木を数本集合住宅の中で使う予定です。
昨日、最終確認しに行ってまいりました。
いいですね。
眺めていて飽きません。
イトヒバとその隣にヒノキ。
子ども心と遊び心をくすぐります。
自然の物掛にもいいですね。
真ん中に見えるカヤの木。
カヤといえば、将棋の盤ですね。
カタイ木です。
存在感があります。
艶かしいヒノキ。
とても美しい木肌です。
木肌といい、形といい、肌理の細かい女性の肌のようです。
幅約2尺、厚さ約3寸のクリの板。
豪快かつ繊細な感じの木肌です。
以上、
あ〜、楽しみだ。
9/23、24は、山梨県みずがき山の麓にて、第二回目の山仕事塾を開催しました。
前回は、参加者とともに小屋の木組を作るワークショップでしたが、今回はそれに壁を作る作業です。
木組と同様、壁についても日本の伝統的な構法を踏襲し、竹を割き、竹小舞をかいて、そこに去年の11月に開催したワークショップにて仕込んだ荒壁土を塗って作りました。
今回は、子どもからご年配の方まで、実に幅広い属性の方々に参加していただきました。
子どもも大人も、途中皆無言になるほど、作業に没頭していました。
とくに泥を使う仕事とコテを使う仕事!
土や泥は、大人も子どもも関係なく、私たちを熱中させる何かがあります。
私自身、思う存分楽しませてもらいました。
■1日目(9/23)
朝の様子。
これから作業を行うところです。
ワークショップ開催前に、野地板貼。
屋根の下地を作り、雨に備えます。
いよいよワークショップ開催。
まずは竹小舞の竹作りから。
竹を竹割器で割き、ナタで節を落とします。
竹割器で竹を割く作業は、子どもたちに人気でした。
確かに、きれいにスパッと割れる様子は、快感ですもんね。
作業もなかなか上手で、たくさん割いてくれました。
編んだ竹を、編みこんでいる様子。
まずは間渡し竹を仕込み、それを軸にして、棕櫚縄で割った竹をくくりつけていきます。
これも子どもたちが手伝ったのですが、指が小さいためか、とても器用に作業していました。
1日目終了!
作業が少しオシてしまい、本日終わらせる予定の竹小舞作業は明日へと持ち越しとなりました。
■2日目(9/24)
引き続き朝から竹小舞作業。
昨日経験しているので、俄然作業速度が上がりました。
竹小舞作業完了の様子。
竹小舞の状態だけでも美しい!
竹の隙間からこぼれる光の表情がなんともいえません。
このままとっておきたいと思うほどです。
竹小舞作業が終了したら、今度は荒壁土塗り。
子どもも大人も、素手で泥をつかんで、手で塗りつけました。
正々堂々と泥んこ遊び。
子どもたちは大張り切り。
これが大人もなかなか快感なのです。
所狭しと群がる子どもたち。
荒壁土を室内側から塗りこみ、それを屋外から眺めた様子。
これはこれで美しい!
やはり泥は本能をくすぐります。
概ね完成!
なかなかの仕上がりです。
・・・・・
伝統構法による小屋(直売所)作りのワークショップは、これにて完結です。
しかし、楽しそうにかつ真剣な眼差しで作業している参加者の方々の様子を見て、またどこかでこうした機会を作りたいと思いました。
こうした機会を作ることにより、とくに子どもたちが作業を体験することによって、日本の古きよき建築技術が見直され、実際に手でモノを作る職人への敬意へとつながっていけば、と思います。
そして、我を忘れる作業、完成したときの達成感と誇り、共同作業を通じて得ることのできた仲間…、みんなで行うたてもの作りは、そもそも楽しい!
ということで、またどこかでみんなで作りましょう!
昨日は夕方、焼杉作業をしていた厚木の材木屋から飯能の材木屋へ。
目的は、木々に囲まれた空間の中での音楽会。
プロのピアニストが連弾でピアノを弾くというので、その音と空間をぜひ体感したいと思い、行くことにしました。
がしかし、東名が渋滞、また所沢から入間あたりまで渋滞で、ななんと4時間も…。
せめて19時過ぎには、と思っていたのですが、夜20時10分過ぎに到着。
17時に始まった音楽会はもうお開き手前で、パラパラと何人かの人は帰路についていたほどでした。
残念!この木霊を宿すような見事な‘木の建築’の中で、すばらしい演奏を聴きたかった…
まあ、仕事の用事もちょっとだけあったので、よしとするか。
その代わり、感動の余韻の残る会場で、延々23時までピアノを弾き続け(させられ?)ました。
最初はお遊び程度にポロンポロンと弾いていたのですが、この場所の主であり、今回の企画者のKさんに気合を注入され、自分も気合の演奏に。
やはり、演奏も建築も、そして人生も、気合です。
指先、手先だけではない、腹の底から沸き立つ力。
この空間と居る人たちに触発され、興奮冷めやらないボクは、帰りの車を走らせながら、
「気合だ」、とそう叫ぶのでした。
昨日池袋にて、私たちのピスカリアにまつわる話を聞いていただいた一行は、本日葉山まで足を運び、実際にピスカリアを見学しました。
ピスカリアを1時間ほどで見学した後、海まで散歩、そしてピスカリアで食事。
食事の後は、昭和期の大建築家が設計した、小高い山の中腹に立つモダニズムと和を融合した見事な空間を堪能してきました。
枠の納まりといい、建具といい、美を追求するということはこういうことかと、一同感心しきり。
しかし私は、今朝訪れた、誰が設計したというわけでもない、生活の匂いが凝集された古い民家の空間のほうが、好きだなあ。
ということで、見学会というよりは、葉山で皆さんと楽しいひとときを過ごす、交流会といった風情でした。
今日は、06木の建築塾〜伝統構法で‘今’を表現する〜の初日。
豊島区勤労福祉会館にて、杉原建築の杉原さん、ピスカリアの棟梁、同じく杉原建築の後藤さんとともに、約2時間お話しする機会をいただきました。
まずピスカリアが作られてきた過程を私のほうから説明し、その後作っている間の感想などをそれぞれ語りました。
最後は当時の楽しいできごとを、まるで聴衆がいることを忘れているかのように、三人で思い出を語るような感じになりましたが(苦笑)。
伝統構法を手段として、建て主さん、多くの職人さんたちと仕事を楽しんだどころか、こうして大勢の方々の前でお話しする機会をいただきまして、ありがとうございます。
このような機会をいただくことで、伝統構法はかくも楽しく、心地よい空間を仕立てる可能性があるということを、少しでも伝えていければと思います。
今朝、鎌倉の市街地にある金物屋に所用で足を運びました。
その金物屋は、私にとって初めての、しかもメーカーから教えてもらった偶然のお付き合いでした。
用を済ませた後、その金物屋のおかみさんとしばらく話をしました。
ひょんなことで、昔長谷で板金職人だった私のじいさんの話になったのですが、なんとそこのおかみさんは、私のじいさんのことをよく知っているようでした。
「そうかー、あの人は厳しい職人だったのよー」
「ほんとに職人気質の人でね、ああいう人が職人っていうのよー」
「組合のためにも、いろいろやってくれたのよー」
私はじいさんの仕事ぶりを知らず、じいさんをじいさんとしか見たことがなかったので、なんだか不思議な時間旅行に行った気分でした。
そして、
「あの人のお孫さん?顔似てるわー」
机の前に居るより工事現場。
工事現場に行くと感じる、設計者として何も手を出せないもどかしさ。
そうか、私にはやはり職人の血が流れていたようです。
私がこうして職人たちと対話しながら建築作りの仕事をする道を選んだことは、偶然のことではありますが、何か因縁めいたものを感じました。
それにしても、です。
故郷に根を下ろして動いていると、いろいろ面白いことがあるなあ。
ごりごりごりごりごりごりごりごり
ざーーーーーざざっ
こぼ こぼこぼ こぼこぼこぼ
ぽた、ぽたぽた、ぽたぽたぽた
こぼこぼこぼこぼこぼこぼ
ぽたぽたぽたぽたぽたぽたぽた…
できた。
飲む。
うまい!
豆を挽きはじめると魔性の香りがあたりに立ち込め、美味さの予感に思わず顔がほころぶ。
挽いた豆を三角の紙の中へ。
豆を挽いていた間、沸かしていたお湯を、黒い谷の中に注ぎ込む。
はやる気持ちをおさえ、できるだけゆっくりとお湯を注ぐ。
ゆっくりと、ゆっくりと。
そう言い聞かせながら、やかんを傾ける。
そしてようやく手にした珈琲。
束の間の、ゆりかごの中に居るような時間。
周りの世界が全て豊かに見える―
実は手で珈琲を淹れるのは久しぶりで、最近は手間を惜しんでボトルコーヒーや缶コーヒーに頼る日々でした。
しかし昨日、久しぶりに手で淹れた珈琲を飲んで、何で私はこの玄奥な味とふくよかな時間を放棄していたのかと、深く深く反省した次第です。
去勢されたコーヒーと、こうも味わいが違うとは!
久しぶりだけに、余計にそう感じました。
手間は裏切りません。
改めて珈琲に教えてもらいました。