タカラサガシから始まる物語
また少し話は遡りますが、
先週は、仲間と‘宝探し’に勤しんでおりました。
といいますのも、
鎌倉の築70〜80年のとある瀟洒な洋館が
その生涯を閉じようとしたのですが、
とても興味を引く建物だったので、
せっかくだからせめて、
その‘形見’をいただき、
それを別の形で活用しようと、
建具だの柱だのを、
現場作業員のご厚意で
引き取らせていただいたのです。
それはまるで瓦礫の中での宝探しのようで、
内心ワクワク、コーフンしながらの仕事でした。
この建物は、
昔ながらの木造建築の技術を踏まえつつも、
この現代においても斬新と感じる意匠計画で、
日々「‘伝統’を‘現代’に表現する」ことを
めざしているきらくなたてものやとしては、
たいへん興味深い建物で、
余計にそのコーフン度は高まったのであります。
そしてやはり、
まちの人たちにとっても目を引き、
関心の高い建物だったようで、
私が現場で作業している間も、
まちゆく人が目の前で歩みを止め、
「もったいないねー」という声が
たくさん聞こえてきました。
今の世の中
そうした声があったとしても、
文化財とかではない限り、
こうした古い建物が
どんどん壊されています。
そうしたまちの声を反映し、
なんとかそうした建物が
残りうるしくみはないものかと思う一方で、
今私たちがすぐにできることがあるとすれば、
形見を受け継いでいくことくらいで、
それを一つ一つ、
現代のカタチにととのえることで、
古きよきものを受け継いでいく文化を、
作っていくことができれば、と思います。
まちのしくみの切なさや、
それをどうすることもできない無力感を嘆くよりも、
まずは自分のできる、
あるいは身の回りにある
‘宝探し’からですね。
しかも‘タカラサガシ’って聞くと、
何だか楽しいことが
始まりそうではありませんか。
さてこの‘形見’を、
どのように受け継いでいくかは、
乞うご期待!