土壁小屋はいま、
昨日訪れた山梨にて。
昨年の「山仕事塾」で建てた小屋が、
スタッフの手で野菜保管場になっていました。
木も土も、
実にいい感じに
色づいています。
周辺の土蔵などを見ても思いましたが、
このあたりの土は黄色いですね。
昨日訪れた山梨にて。
昨年の「山仕事塾」で建てた小屋が、
スタッフの手で野菜保管場になっていました。
木も土も、
実にいい感じに
色づいています。
周辺の土蔵などを見ても思いましたが、
このあたりの土は黄色いですね。
山梨と長野の県境のあたり、
40年前ほど植林された、
カラマツの木をどう使うか、
関係者一同で考えるために、
山の中を歩きました。
山はそこそこ手は入っているのですが、
伐って降ろしても
お金にならないので、
そのまま放置。
確かに建築に使うには、
細すぎます。
ただ木は、
別に建築だけではなくても、
生活の中の
いろいろな用途で使えます。
とくに燃料としては、
明日からでも、
使えそうです。
石油でもなく電気でもなく、
こうして身近な山で
燃料が調達できると、
生活の目が山まで及び、
山が‘ともだち’になったような、
気になりそうです。
山と人が健全な関係を結べば、
再び生えてくるもの、
というところも、うれしいですね。
山歩きで見つけたキノコ。
このキノコ、
とてもおいしいらしいです。
いつの間にか、
みんなでキノコ狩り大会に
なってました(笑)。
山の恵みは、
木だけではありません。
こうして食べ物もあるし、
何よりも、
空気がおいしい。
本日、2007木の建築塾第2回目開催。
木を取り巻く「素材」を軸に、
今年の木の建築塾は繰り広げられています。
その2回目テーマは、土(左官)。
講師に湯田工業 湯田さんをお招きし、
私が案内役のもと、
鎌倉く邸の現場にて、開催いたしました。
進行中の現場で講義という、
木の建築塾始まって以来、
今までにない試みでしたが、
湯田さんの周到な準備、
また建て主や現場の協力もあって、
なかなか有意義な会だったのではないかと
思います。
そして皆さま、
遠いところご参加いただきまして、
ありがとうございました。
まず湯田さんに、
土壁の下地となる
竹小舞の見本を色々用意していただき、
解説していただきました。
私も現場では、
「総四つ小舞」と「簾小舞」しか
ナマで見たことがなかったので、
たいへん勉強になりました。
竹小舞も、相当奥が深い。
次に、
土やスサなどの土壁の材料となる素材、
土壁の工程、
土壁の仕上げについて、
見本を示して説明。
土壁は、
土、水、スサ、砂、という、
どこにでもある、またそれだけの素材の中で、
職人の幾重にも重なる手間と優れた技術、
また様々な知恵と発想で、
無限の世界が繰り広げられることを再認識。
とはいえ職人として、
諸手を上げて土を礼賛するのではなく、
土は自然界にあるものだから、
いいところもあれば、
悪いとこともあるという、
言葉が印象的でした。
土は生きているということ、
土を舞台に、
土とともに生きとし生ける、
私たち人間との付き合い方がとても大事、
ということですね。
だから土の世界は、
たまらなく魅せられるのです。
今日の午後、
職人さんに混じり、
現場で木建具の枠に
柿渋を塗りました。
枠には、
大工の手により、
鴨居溝、戸ジャクリ、チリジャクリなど、
様々な加工が施されています。
柿渋を塗ると、
設計者としても、
それぞれの状況の
確認を兼ねることができます。
さてそのうちの部材の一つ、「鴨居」。
建具の上枠に来る部材で、
引き戸の場合は、
戸が通るための溝が彫られています。
(写真真ん中)
しかしなぜ、
「鴨」なのでしょう?
辞書などで語源を調べてみたのですが、
それでも「鴨」である理由が、
よく分かりません。
建物の名称を示す言葉の中には、
「懸魚」だったり、「鳥衾」だったり、
たまに動物が居るのですが、
だいたい魔除けの意味合いですね。
一つ、「鴨」は水鳥だから、
火に関する厄除けの意味を込めて、
という説を見つけたのですが、
やはり「鴨居」も、
そういうことなのでしょうか。
しかし、感覚的に、
不思議な気がします。
例えば、
言葉としてその親戚筋ともいえるのが、
「鳥居」ですが、
鳥居が「鳥居」であることについては、
在る場所といい、形といい、
なんとなく感覚的に、
分かるような気がします。
先ほどの
「懸魚」も「鳥衾」も然り。
対して「鴨居」は、
それが在る場所も形態も、
あまりピンと来ないのが、
正直なところです。
魔除けにしては、
あまりにも身近すぎるから、
なんでしょうかね?
いずれにせよ、
たてものの言葉って、
たまにこうして、
不思議に思うことがありますね。
一昨日焼杉板作りが終わり、
また裏返し塗りも、
ほぼ乾いたので、
外壁は板を張る準備。
写真のとおり、
柱に厚さ20㎜の木(通気胴縁)を
打ちつけてから、
板を張るので、
壁の中を、
空気が流通する
通気層を形成します。
いわば、
木組みと土壁の家が、
焼杉板という、
服を着た状態。
土壁自体、
塗り重ねて外壁になりえますが、
やはりこうして保護するにこしたことはなく、
また夏も冬も、
この通気層が外気と室内の緩衝帯となり、
室内環境の変化を
より緩やかなものにします。
そして電気屋さんにとっては、
こういう家にとって数少ない(苦笑)、
配線のフトコロにも、なりますね。
一方、たてものに着せる服は、
素材が呼吸する
木の板か、漆喰などの左官仕上げ。
ここでは焼杉板ですが、
これらの素材を基本に、
‘服’をデザインすることになります。
今日の昼間、
とくに別に
示しをあわせたわけでは
ないのですが、
建て主家族と、
藤間さんと、
SDさんと、
うちの家族が、
集結。
日曜日なのに、
別の意味で、
現場が賑やか。
ところで、
ここの現場の雰囲気と同じように、
敷地の片隅も、
楽しいことになっています。
がけの上にある
網状のフェンスに
巻き付いた雑草。
一面緑の壁です。
工事を始めるにあたり、
一度全て刈りとったのですが、
緑の生命力は、
さすがですね。
きれいに巻き付いているので、
また刈りとるのは、
忍びないです。
雑草の壁の中に、
紫色の蔓瓜草が
可憐に咲いておりました。
幻想的な色合い。
敷地最北端の片隅に、
いつの間にか、
1坪ばかりの
菜園ができてました(笑)。
といいますのも、
このごろ毎日のように来ている
大工、左官屋さんたちは、
ほぼ毎日のように、
お昼やおやつの時間、
現場にフライパンだの鍋だの持ち込んで、
とても楽しそうに、
自分たちで料理します。
じゃあその食材も、
工事の期間中、
自前で育ててしまおうということで、
こうして敷地の片隅に、
菜園をこしらえたのです。
職人の遊び心と、
またそれを
楽しそうに受け入れてくれる
建て主のフトコロの深さの
証ですね。
焼杉作業5日目。
焼きの作業は、
3日目で終わっているので、
今日は前回に引き続き、
板をきれいにして、
柿渋を塗る作業。
今日の参加者は、
建て主家族、
2時間半かけてKSさん、
私、
という構成。
時折、
暑いと感じる陽の光が
雲の合間から注ぎ、
そして、
10月らしい風が吹くという天気。
作業するのに
ちょうど身体が心地よく、
また板も、
柿渋を塗ってすぐ乾いてくれるので、
実に作業日和でした。
子どもたちは、
時々手伝い、時々ゲーム。
なかなかよく働いてくれます。
そしてKSさん、
ていねいに子どもたちの面倒を見てくれて、
ありがとうございます。
すっかりなついていましたね。
できあがりの様子。
深みのある褐色。
柿渋を塗るとやはり、
若干赤みを帯びた色になります。
・・・
鎌倉く邸の
吉岡木材さんでの焼杉作業は、
これにて完了!
うれしいけど、
さみしいなあ。