光を受ける台
玄関の格子戸を入ると、
左手に、鳥の子紙戸で覆われた
傘入と靴箱が、並んでいます。
傘入の上は、
昼は摺り硝子越しの自然光、
夜はスポットライトの光、
これらの光を受ける
台となっています。
洗面所は、
居間と厨房の両方から、
入れるようになっています。
自分はこういう、
一点透視を強調する構図を
採り入れることが、
多いですね。
なお、
上部に見える黒っぽい枠は、
法律で定められている
コンロ廻りの垂壁。
鍛冶屋に作ってもらった、
鉄錆色の枠です。
そこに防火硝子が、
はめ込まれています。
居間に接する
四畳半の畳の間。
居間とは、
引き込み可能な三本の襖で、
仕切られています。
また押入には、
引き違いの襖、
二面ある外との窓には、
引き違いの障子、
いわば「紙」で囲まれた
世界なのですが、
昨日の朝、
ここを訪れてビックリ。
朝陽をたっぷり浴びて、
そのあたたかさを紙が包み込み、
暖房を入れていたのではないか、
と思うくらい、
あたたかったのです。
昨年の夏、
高知に旅したとき、
紙を作る工程の
たいへんさと繊細さに
驚いたものですが、
昨日その機能にも、
驚かされた次第です。
そしてこの間に居ると、
やはり何か、日本人として、
心落ち着くものがあります。
改めて日本の、
機能を備えた美、
美を備えた機能、
日本のココロなるものを、
肌で感じました。
2階の東側に、
見晴台のバルコニー。
ここの敷地は、
北側と東側が
下がっているので、
眺望を楽しむことができます。
東側は、
黒褐色の焼杉板。
その板越しに見える
照葉樹林の山並みが美しく、
その山並み沿いに走る
モノレールの動きが楽しい。
北側は、
乳白色のガラススクリーン。
強く吹きつける冷たい北風から守るため、
またお隣さんとのお互いの安心感、
それらと軽快な印象を両立するためです。
そして南側は、
開いた手すりにすることによって、
光と風を受け入れます。
家並みの向こうには、
神社の立派な銀杏を
見ることができます。
ところで、
冬のこの時期、見晴台は、
朝から陽の光が燦燦と注ぎ、
とてもあたたかい。
夏も風がよく通るので、
気持ちよさそうです。
納涼ビール、月見など、
ここでたびたび、
眺めを楽しむ会の予感。