泥塗り始まる
昨秋に仕込んだ泥が
いよいよ塗られ始めました。
ほのかに田んぼの香りが
漂っています。
家づくりのたびに育つのは、
人だけではありません。
家づくりに関わる仲間たちの
絆を育て、深めてくれます。
海老名せ邸の上棟祝いの宴には、
いつものように
この家づくりに関わる
仲間たちが集まりました。
また最近の傾向として、
朝から応援の大工や
鳶や設計者だけではなく、
他の職人たちも大勢集まって、
本職並に、棟上げの仕事を
手伝ってくれます。
こうして仲間が
集まってくださること自体に感謝!
そしてこの‘まつり’のたびに
集まり、酒を酌み交わすことで、
職人たちは、
自分の仕事だけ見えるのではなく、
現場に乗り込む前に、
家づくりに関わる人の輪全体を
見渡すことができ、
職人の腕と誇りの連鎖がまた
始まるのです。
よい上棟祝いの宴でした。
これから本格的に
この場で始まる家づくりの物語が
楽しみです。
友人‘く’と子どもを連れて、
大磯エピナールで開催された
ハッチハッチェルバンドのライブに
行ってきました。
愉快爽快、抱腹絶倒のライブ、
そして電気仕掛けの音じゃないから、
賑やかな音でも、詞が心に沁みます。
昨年同じ場所で出会って以来、
すっかり彼らの虜に。
過言ではなく、
明日生きる楽しみを
与えてくれるバンドです。
都合で休憩中に抜けてしまいましたが、
最後までいたかったなー。
今日は海老名せ邸の柿渋塗り。
所員一同で柱を塗りました。
塗り始めると早速、
柱の足元に
ホゾから指一本分離れたところに
鋸を切り始めて、
「あっ、しまった」
という感じに見える鋸目を
見つけました。
この柱、
墨付けを少し
間違えちゃったんだね、
と思っていたら、
ほとんどの柱に
鋸目があるではありませんか。
あれま、
全ての柱の墨付けを
間違えってしまったのでしょうか。
いやそうではないということを
少ししてから気付きました。
これは‘わざと’なのです。
大工が後で行う作業が楽なように
付けた印です。
ではその作業とは何?
その答えは、
そのときになるまでの
お楽しみに!
現在、茅ヶ崎あ邸は、
瓦葺きの最中。
屋根の上に、
斑な銀色の波が、
描かれ始めています。
ところで、
瓦の軒先の様子を
写真に納めました。
ご覧のとおり、
瓦の下も空気が
流れるようになっており、
また万が一、
瓦の下に水が
流れてしまったとしても、
外へ流れ出るしくみに
なっています。
しかも瓦自体が
昔ながらの燻し瓦、
水を吸ったり吐いたり、
呼吸をするいきものなので、
外見をととのえるだけではなく、
こうした下地部分の環境、
いわば建物の内臓をも
ととのえてくれます。
こうして
昔ながらの匠の技は、
知れば知るほど、
風土に根付いた表情を
与えてくれるだけではなく、
気候風土に対して
理に適った機能を
持ち合わせていることが
多いことに気が付きます。
あるいは
昔ながらの建物は、
デザインの一つ一つに
意味があると
言えるのかもしれません。
現代でも、
こうした技と知の結晶を
生かしていきたいですね。
仕事部屋の東側には、
物干し台に通じる
硝子戸があるのですが、
この時期の朝は、
ほぼ真東から陽が昇るので、
日の出の頃から眩い光が
差し込んできます。
少し前だったら、
あたたかくなってきたなあと
とてもありがたく感じていたのですが、
この頃は初夏の陽気なので、
正直少し、
手加減してくれないかなあと
思います。
とくに私は、
朝早い時間から、
この戸の真横で
仕事を始めるので、
朝陽とのお付き合いの方法が、
とても大事です。
そこで活躍してくれるのが、簾。
以前建主さんにいただいたものを
ここに掛けさせていただいております。
陽射しが強いときは、
パソコンの画面を
直視できないくらい
眩しいのですが、
ぱっと簾を垂らすだけで、
暗くなるわけでもなく、
ちょうど心地よい光の量を
通してくれます。
そして初夏の陽気の
この時期は、
戸を開けておくと、
簾を通る風が
心地よいと感じます。
朝寝ぼけまなこでも、
地球の引力による速さで
室内に心地よさをもたらしてくれる、
この切り替えの早さが
実に日本的でいいですね。
調べてみると、
簾はとても古くからある
日本の住まいの装置のようです。