師走の雨
師走の雨の日。
この時期雨が降ると、
まちを歩けば
寒さが身に沁みます。
しかし庭先の植物は、
たまの雨を
喜んでいるよう。
とくにナンテンが
夏から秋にかけて
暑い陽射しを浴び続けて
赤い玉に昇華し、
雨の中、
際立っていました。
壁のほうは、
現在貫伏、斑直し。
柱同士を
ベルトのように巻き、
竹小舞を支持している貫板を
棕櫚を渡して土で覆い、
さらに
それ以外の部分を
平らに整えるための
仕事です。
ですので壁が
縞模様に。
それを裏から見ると、
貫の部分だけ
水気が沁みないので、
こちらも縞模様になります。
大工は現在、
細々とした仕事が進行中。
居間のカウンターの上の
幅の狭い天井が
貼り終わりました。
なぜ、
「きらくなたてものや」
という名前なのか。
ありがたいことに
よく聞かれます。
くだけた名前
だからでしょうか、
しかし事務所を立ち上げる際、
これから活動したいこと、
やるべきことを踏まえて
まじめに考え抜いた名前です。
そういえばこの場で
その理由を述べる機会を
逃がしていたので、
今更ですが今日、
それを発表したいと
思います。
ではその名の心は、四つ。
まず一つ目は、
「木」を使って、
「楽」しく心地よい建物を
作っていきたかった。
二つ目は、
この業界では設計者のことを
「先生」と呼ぶ
習わしがあるのですが、
私は「先生」と呼ばれるような
敷居の高い存在ではなく、
地域の中で
建物について
気軽に相談できる
存在でありたかった。
三つ目は、
子どもたちに
伝統的な建築技術や知恵、
森のこと、木のことなどを
伝えていく機会を
作っていくために、
子どもたちも親しめるような、
そしてできれば
三×三に納まる
九文字のひらがなの
名前にしたかった。
四つ目は、
建物づくりは、
建主さん、職人たちとの
協働による成果品、
だとすれば、
個人の名が先に立つよりも、
私たちチームの雰囲気を
よく表す名前にしたかった。
以上の結果が、
きらくなたてものや、です。
それでは今後も、
この名をよろしく
お願いいたします。
朝の嵐で、
我が家の半田仕上げの外壁が
たっぷり水を含み、
子どもが学校に
向かう頃になると、
急速に天気が回復して、
眩しい陽射しとともに
突き抜けるような青空。
すると外壁も、
みるみる乾いてきました。
乾いた様子を見てみると、
この時期陽が低いので、
家の前の道路に架かる電線が
外壁に影を落とし、
見事に影の部分だけ
湿り気が残りました。
直径2、3cmですが、
されど電線、
わずかな影でも、
乾きの速度に
影響を及ぼすようです。
空間を計画するにあたり、
建築しかり、植栽しかり、
ほんのわずかな要素でも、
周りの環境に
大きく作用することが
あるということを
改めて思いました。
連日、横浜こ邸へ。
昨日は
左官の進み具合を書いたので、
今日は大工の仕事の話。
現在、
物入の壁の
板貼り進行中。
余った板を
うまく使って、
側の壁を
貼り進めています。
建具で隠れて
見えなくなるところですが、
隠すのがもったいないほど、
余った板の割には、
なかなかいい表情です。
幅木が概ね
付け終わりました。
現在
つっかえ棒を添えて、
養生中。
ちなみに糊は、
だいぶ前に紹介した
自然素材由来の接着剤。
膠が主成分だけに
寒くなってきたので、
(とはいえ今日はあたたかかった!)
固まるのが早く、
扱いが難しく
なりつつあると思います。
夕方5時前、
現場を後に。
冬至が近づいて
陽が沈むのが早く、
早々に夜景を
楽しむことができます。
作業用の灯に照らされて、
連続する垂木が
美しく映し出されています。
ついに12月。
来月はもう
お正月ではないですか。
さて横浜こ邸は、
完成に向けて、
着々と進んでいます。
現在左官工事は、
貫伏・斑直しと、
木ずり下地部分の中塗。
壁の木の部分が
隠れて見えなくなるので、
壁がより壁らしく
なっていきます。