2011年4月22日
先日、某地で、
江戸時代末期築の
古民家の解体現場を
見る機会がありました。
そこで気づいたこと一つ、
もちろん伝統的な建築技術で
作られているその家には、
思いのほか継手・仕口が
少ない、ということ。
使われていたとしても、
ホゾ、アゴ、アリ、カマといった
基本的な継手・仕口が
ほとんどです。
裏を返せば、
二間だろうが四間だろうが、
真っ直ぐだろうが曲がっていようが、
当時身近に手に入る材木
そのままの特性を活かして、
建てていたということになります。
伝統に学ぶ、とは、
工人が長年の研鑽の中で編み出した
高度な建築技術を学ぶことも
確かにその一つですが、
このように
目の前にある材料で
合理的に計画する、
という作法、
ここに本質の一つが
あるのではないかと
かねてより感じています。
先日古民家を拝見して、
改めてそう思ったのですが、
では現代に当てはめると、
どうでしょうか。
今、里山の小さな家や、
木の仮設復興住宅のありようを
構想しているのですが、
そんな作法を踏まえて私は、
全て4寸角のスギまたはヒノキで、
比較的平易な継手仕口を用いて
作ることができれば、
と考えております。
戦後拡大造林の影響で、
今4寸角に適した
スギヒノキが
たくさん山に
あるはずだからです。
建築資材が足りない!
と言われている今こそ、
この伝統的な工法の本質を
伝えていくことができれば、
と考えています。