階段上がると
鎌倉た邸にて。
階段を上がりきると、
そこにはすっきりと小屋梁の見える
大きな広間があります。
左手には、
先日紹介した
空と緑が見える大きな窓、
燦々と光が射しこむので、
ついそちらに
吸い寄せられそうになります。
九月が始まりました。
十二ある月の中で、
一年が始まる一月の次に
ついたちが感慨深いのは、
九月かもしれません。
その日を境に
夏が終わり秋が始まり、
そして学校が始まります。
正月が、
年の終わりと年の始まりの
境だとすれば、
九月一日は、
今日みたいに蒸し暑かろうが、
涼しい風の日だろうが、
季節の分かれ目を
明らかに感じる日。
別れを告げる季節が
夏だからでしょうか。
考えてみれば、
秋の別れ、冬の別れ、春の別れを、
これほどまでに
意識することは
ないように思います。
いずれにせよ、
私の中で秋が始まりました。
今年も実り多き秋を
楽しみたいと思います。
手広た邸にて。
荒壁土はおおかた乾き、
2階間仕切り壁の下地は、
木ずりの打ち付けを
待つのみとなりました。
季節が進むにつれ、
次第に空間が
仕切られ始めていきます。
鎌倉津西の
改修の仕事にて。
おおかた仕事が終わり、
もうお住まいに
なっているのですが、
遅ればせながら、
今日、木建具が入り、
ひととおり空間が
完結しました。
建具はいつものとおり、
杢正の新井さんです。
新井さんの建具は、
単に美しいだけではなく、
空間のイメージを
設計者である私と
議論し共有したうえで、
作り手としての
コンセプトを感じる建具を
作ってくださいます。
同じ寸法の建具でも、
木目の見せ方一つで、
ガラリと表情が
変わりますからね。
難しいところでもあり、
それだけに
楽しいところでもあります。
今日も現場で、
議論に話が咲き、
楽しいひと時でした。
居間に幅10尺ばかり、
4ヵ所連なる
スギの両開き戸。
全てで8本の
建具が並んでいるわけですが、
鏡板がどの列も
1本で通っています。
また上に行けばいくほど、
白太の割合が多くなるので、
軽やかに感じます。
洗面所の木建具。
こちらも上へ行けばいくほど、
白の割合が増しています。
玄関収納用の建具。
私たちが通称「紙戸」と
呼んでいます。
鉱物を板状に固めた
モイスを下地に、
昔ながらのでんぷん糊で
鳥の子和紙を貼っています。
和紙を使うと、
空間が「和」に傾きがちと
思うのですが、
「和」というよりは
空間がさっぱりと見えるので、
面積の大きい場合には、
よく採用する建具です。
鎌倉た邸にて。
部屋に入ると、
木組みの間に嵌った
窓の連なりが
正面に目に入り、
木組みごとに
分割された光が
部屋の中へと
招いてくれます。