トントン葺と漆喰
納戸の三帖間の天井。
既存の天井を剥がしたら、
いい感じでトントン葺きが見えてきたので、
天井を貼らないことに。
そのほうが、
壁の納まりがしんどかったんですけどね。
しかし露わにして
よかったです。
数十年の時間が沁み込んだ
渋い色合いの木肌と、
仲間たちが塗った味のある漆喰が、
よく合っています。
古民家を改修する場合、
もちろん最初に図面を描きますが、
現場が進み、
下地の状態が露わになると、
思いがけないできごとに
出くわしたり、
下地が思いのほか、
美しかったり、
図面通りには、
いかないことがままあり、
そのたびに現場に足を運んで、
大工をはじめとする職人たちと相談、
仕上げに至るまでの物語が、
とても楽しい仕事です。
古民家の多い鎌倉に
住んでてよかった(笑)
南側の大きな開口部に仕込んだ
両側に引き込まれる障子の納まりも、
物語のある空間の一つ。
当初引き込まれた障子の脇に、
棚などない計画でしたが、
構造上の理由、
また下地の状況を踏まえて、
そこに棚を作ることにしました。
そしてその棚は、
障子の割付と合わせて
棚板を割り付け、
整った表情作りを
試みています。
鎌倉古民家改修の住まいにて。
(今日から「住まい」に(笑)。)
住み始めてから
早いもので約2週間。
今日は建主さんと、
建主さんのご両親と、
きらくなたてものやの面々で、
荷物を一旦庭に出し、
養生剥がしと蜜蝋ワックス掛け。
朝からせっせと作業したら、
昼頃には居間部分が完了。
まだもう少しだけ
細々とした作業は残っていますが、
ようやく「ゲンバ」から、
「住まい」の雰囲気へと
辿り着きました。
この達成感。
これが心地よくて、
きらくなたてものやでは、
分離発注方式ということもありますが、
大概の場合、
最後の掃除などは
自分たちで行うのです。
作業が落ち着くと、
建主さんたちとともに、
さながら写真撮影大会でした。
鎌倉古民家の改修現場にて。
(ああもう現場ではない(4回目…))。
今日はほぼほぼ、
壁が仕上がりました。
これで本当の完成まで、
目前の状況となりました。
さて先日、
この家に新たに入った建具を
紹介しましたが、
この家にはその数と同じくらい、
古い建具が使われています。
新たな白い壁と古い木組み、
それと呼応するように在る
新たな建具と古い建具、
モダンな感じとなつかしさ、
それぞれの時代の要素が絡み合って、
この家の居間が構成されています。
先月は家の前に、
建築時の「お知らせ看板」を再利用して
柞の森音楽祭のポスターを貼りましたが、
今月は
第7回鎌倉路地フェスタのポスターを
貼っています。
皆さん、
手広の住宅地内でよければ、
貼りたいポスター等があれば
ぜひご利用ください(笑)
また今週末から
10日間にわたり行われる
鎌倉路地フェスタもよろしく!
きらくなたてものやと
柞の森合唱団も参加します。
子どもの頃、
新聞の中に折り込まれた
チラシを眺めるのが
割と好きだったのですが、
その中でも、
家具屋のチラシが
お気に入りの一つでした。
そういえば、
不動産屋のチラシも
空間の想像力がかき立てられて、
好きでしたね。
そう考えると、
今の仕事につながる伏線が
子どもの頃にあったのだと思います。
さて、
その家具屋のチラシを眺めていて
とくにワクワクしたのは、
ベッドと机と収納が
一つになった家具。
まるで部屋の中に、
基地ができる感じがして、
とてもうらやましく
思ったものです。
そして数十年経ち、
今私はまさにその「基地」を、
現在改修している
集合住宅の中に作っています。
段違いの机と棚の上にベッド。
限られた空間を
多機能に使うために
導かれた計画ですが、
現場でその骨格ができた今、
子どもの頃を思い出して、
無性にワクワクしています。
さらにこの家は、
「基地」のような仕掛けが
もう一つ。
それについては追々
紹介したいと思います。