玄関土間の情景(其の壱)
住む人の
数だけ埋まる敷瓦
‘ただいま’の順
靴並ぶ朝
(撮影:畑拓)
玄関土間の仕上げは、
モルタルなのですが、
無機質な表情の中に、
表情豊かな達磨窯で焼いた敷瓦を
5枚埋め込みました。
建主さんのご家族の人数に
合わせて5枚、です。
お住まいになっている皆さんが
敷瓦の位置に合わせて、
自分の靴を並べている光景を
想像したりしています。
住む人の
数だけ埋まる敷瓦
‘ただいま’の順
靴並ぶ朝
(撮影:畑拓)
玄関土間の仕上げは、
モルタルなのですが、
無機質な表情の中に、
表情豊かな達磨窯で焼いた敷瓦を
5枚埋め込みました。
建主さんのご家族の人数に
合わせて5枚、です。
お住まいになっている皆さんが
敷瓦の位置に合わせて、
自分の靴を並べている光景を
想像したりしています。
12月に入って寒い日が続きますが、
今日はとりわけ寒い日。
なんでも近畿地方は、
初雪が降ったとか。
それほど寒かった
まもなく新月の今日、
きらくなたてものやは
大磯の某里山の一角で、
竹伐り隊を結成しました。
もちろん青空の下での
作業でしたが、
身体を動かしていると
寒さを忘れてしまうほど。
そしてお昼ごはんや
おやつの時間になると、
その寒さを思い出すのでした。
さて、今日の参加者は、
建主の‘み’さんご夫婦、
‘み’さんのお母さん、
‘み’さんの奥さんのお父さん、
最近ワークショップに
よく来てくださる‘う’さん、
町田か邸の建主さんたち
3名+子ども1名、
埼玉の遠方から
町田か邸の建主さんのご両親、
鎌倉か邸の親子、
午後から二宮し邸の建主さん、
そしてきらくなたてものやから3名、
合計15名+子ども2名と
賑やかに作業を進めました。
来てくださった方の
属性を見ていただくと
分かると思うのですが、
そのほとんどが建主さんOB、
または現在進行形の建主さん。
しかも偶然、
杏工匠が棟梁を担当する
建主さんばかりでした。
実は今回、
直前まであまり人数が
集まっていなかったのですが、
昨日にきて急増。
こうした場に来ていただく方は、
等しくありがたいと思うのですが、
いざという時の
建主さん同士のつながりは、
本当にありがたく思います。
そんな皆さんのおかげで、
今日は必要な本数の竹を伐り、
また必要な本数の割竹の
ちょうど半分を作ることができました。
参加された皆さん、
星空が見え始める頃まで
たいへんおつかれさまでした!
朝は、竹林で竹を伐り、
伐った竹を田んぼに下ろす作業。
カキシブ隊では
子どもたちが印象的ですが、
竹伐り隊で元気なのは、
おじいちゃん、おばあちゃんたち!
昨年もそうでしたが、
今年も年齢を感じさせないほど、
軽やかに里山の中を
動き回っていました。
お昼ごはんは、
建主さんお手製のおにぎりと豚汁と
おかずの数々。
美味さとあたたかさとありがたさが
五臓六腑に浸み渡ります。
二宮し邸の‘し’さん。
竹を割る姿は、職人そのもの。
毎回来てほしい…(笑)
暗闇に包まれた里山の中、
最後みんなで
星空を見上げました。
その美しさも相俟って、
みんなで上を向く
この幸せな空気感は、
きっと生涯忘れません。
師走のスカッとした青空の下、
今日はカキシブ隊!
今日の参加者は、
建主さん、
建主さんの弟さん、
毎度ありがとうございます、
日野の‘い’さん、
そして一人で
電車を乗り継いできた
小5の‘あ’くん、
そしてきらくなたてものや3名。
今日は柱と小屋束を塗り、
これで上棟の前に
塗るべき作業はほぼ完了!
この達成感は、
何度経験しても
色褪せませんね。
それにしても
来週末上棟かー。
刻み始めてから
約半年になりますが、
過ぎてしまえば
あっという間、
もう少し柿渋を塗っていたい、
と思うほどです。
さて、
今日のカキシブ隊も、
子どもが印象的でした。
先ほども触れたとおり、
作業に興味を持った少年が
一人で来てくれました。
坊主頭のちょっとやんちゃな
雰囲気を漂わせつつ、
「骨」があると言いますか、
この道で育てがいを感じる子で、
朝から夕方まで飽きることなく、
本当によく働いてくれました。
たいへんすばらしい!
こうしてたくさんの子どもたちに
ものづくりの現場の空気を感じに
来てほしいと思います。
昨日のことですが、
夕方から町田か邸へ。
するとあっという間に
陽が暮れてしまいました。
現場にいると、
陽の長い短いが、
如実に分かりますね。
そして冬は、
現場の夜景が
美しい季節でもあります。
とくにここは、
玄関に入って見上げた時の
格子床がお気に入りです。
今は竹小舞が覗く土壁との
ツーショット。
そのうちにこの壁も
全面に土が塗られていきます。
昨日の朝、中央自動車道の笹子トンネルで、
たいへん痛ましい事故が起きてしまいました。
命を落とした方が、
9名もいらっしゃるとのこと、
心よりご冥福を
お祈り申し上げます。
私もここを通って
山梨に通い詰めていた時期が
あっただけに、
この事故は本当に心が痛みます。
事故の原因は、
天井支持部の老朽化とのことですので、
保守点検業務の改善が
望まれるところです。
とはいえ、です。
人間が作るものには
生きものと同じ、
永遠に命はありません。
しかもこうした土木の産物は、
地形が動けば壊れてしまうわけですから、
五十年百年の単位では
大丈夫かもしれなくても、
五百年千年の単位で見ると、
どうなるか分かりません。
昨年の三月のように、
「千年に一度」が、
明日起こるかもしれません。
たまに山の上で、
ここは大昔海の中だった、なんて
びっくりするような話を
聞くことがありますが、
それくらい地球は動く、
ってことです。
私たちはものを作る時、
できるだけ長い間、
生き続けてほしいと願いながら
手を動かすことが
多いと思うのですが、
しかし私たちの土台である
地球には逆らえません。
しかも、
幾ら保守点検に力を入れたとしても、
ものも「生きもの」ですから、
いつかは絶対に寿命を迎えます。
諸行無常。
私たち人間はここ数十年、
何かを作る時に、
そのことを意識してきたでしょうか。
住まいのほうは、
どうせ二十〜三十年で
ダメになってしまうから、
という心で、
作り続けてきたようですが、
それはさておき、
例えば道路、
例えばトンネル、
例えばダム、
例えば高層建築物、
例えば原子力発電所、
いくら丈夫に作っても、
永遠の命、
いつまでも絶対大丈夫、
ということはありえません。
そして巨大であればあるほど、
それらが寿命を迎えた時、
私たちに甚大な影響を及ぼします。
その後の廃棄物処理も、
想像するだけでたいへんそうだ。
悲しいかな、
私たちの暮らしは、
そのようなインフラに支えられて
栄えてきました。
そう考えると私たちは今、
堅牢に見えて脆い、
砂上の楼閣の上に
暮らしているということを
自覚する必要があるように
思います。
そう、昨日のニュースを聞きながら、
私の頭の中でつぶやいた言葉は、
「現代は、砂上の楼閣」。
そんな砂上の楼閣への依存から
少しでも脱却するために、
粘り強い、
地に足付いた暮らしの基礎を
改めて作り直していきたいですね。