お互いによいこと
今日の午前は、
鎌倉の潮風香る丘の中腹に
数年前作らせていただいた
大きなバルコニーのお手入れ。
入念に雑巾がけしたあと
柿渋コートを塗り重ね、
だいぶ見違えるようになりました。
こうしてお手入れに
関わらせていただくと、
たてものにとっても
よいわけですが、
経年変化の様子が
よく分かるので、
私たちにとっても
ありがたいことです。
先日の新聞記事によると、
日本全国の空家が
家全体の13.5%だそうです。
この中には
別荘も含まれるそうなので、
実感としてはもう少し
少ないとは思うのですが、
それにしても、
想像以上の数字。
数にして
なんと820万戸です。
しかも人口が
減ってきているのですから
その数はますます増えそうです。
僕たちのようなたてものやは、
もう要らないですね(笑)。
…と半分冗談めいておりますが、
本気でたてものを巡る仕事のあり方を
考えなければならないのだと思います。
たてものに対する哲学を曲げてまで
この世界に執着するつもりはありませんが、
しかしこの哲学の火が消えては、
世の中つまらなかろうと、
自分では勝手に思い込んでいますので、
自分の哲学には執着して
生き続けようと思います。
さて、
その空家が多い理由一つは、
もう住まないのに、
家を壊してしまうと
土地の固定資産税等の
軽減措置がなくなって、
エライ跳ね上がるから、という話を
耳にしたことがあります。
ナンダカモッタイナイ。
もしたてものを使うめどが
ないのでしたら、
更地にして畑や果樹園にすれば、
引き続き固定資産税等の
軽減措置を受けられるように
できないものでしょうか。
更にそうして農地化した土地を
畑として使ってくれる人たちに
つなげる仕組みを作るのです。
先ほどのとおり、
宅地として使われない土地が
今後たくさん出てきそうです。
そんな土地を、
放ったらかしするくらいならば、
それらを緑豊かな、
むしろ人間の息づかいが聞こえる
畑に、果樹園に、里山に、
してしまいたい。
風景としても、
また地産が進むので
エネルギーのことを考えても、
何だかステキな予感がします。
たてものやが、
たてもの作らんと畑や森を作れ、
と主張するのも、
なかなかステキではありませんか(笑)。
気がつけば、
平成26年、2014年も、
あと2ヵ月するとほぼおしまい。
ようやく26または2014という数字が、
頭の中で馴染んできたのに、です。
時はあっという間に
過ぎてしまうのだとすれば、
本当に一日一日、
大切に過ごしたいと思います。
さて表記の件、
久しぶりにカキシブ隊を
募集いたします。
カキシブ隊とは、
大工が手作業で刻む柱や梁など全てに、
柿渋を塗る作業のことです。
柿渋を塗ると、
色合いが揃ったり、手垢がつきにくかったり、
カビや虫を避けてくれたり、
そんな効果を期待して塗るのですが、
仲間たちとの作業を通じて、
大工の仕事を肌で深く知り、
また共感の輪が広がるという、
かけがえのないタカラモノを
得ることができる場でもあります。
なにぶん平日なので
お仕事等のある方も多いかとは思いますが、
共同作業の楽しさと力を感じに、
ぜひ多くの皆さまのお越しを
お待ち申しあげております。
なおご参加いただける方は、
人数確認、および道具等の準備のため、
お手数ですが事前に以下の宛先まで
ご参加の旨のご連絡をお願いいたします。
tamotsu.hidaka@kirakunat.com
■2014晩秋のカキシブ隊
・日時…平成26年11月4日(火) 9:00〜日没まで
・場所…厚木市飯山 吉岡木材
・集合…9:00現地集合(本厚木駅からバスでアクセス可能です。)
【連絡事項】
・持物:作業できる服装、運動靴、タオル
(柿渋は衣服等に付着すると、二度と落ちません。)
・雨天中止の場合、当日7時までに作業実施を決定のうえ連絡申し上げます。
・ご都合のよい時間だけでもOKです。
・交通手段、詳細の場所等の事務連絡は、改めて個別にさせていただきます。
・昼食は用意、またはごちそうします。
・交通費を支給させていただきます。
(一律1,000円とさせていただきます。)
先日、木の家ネットの総会で
加子母村の森を訪ねて耳にした
印象的な言葉の一つ。
その山に生えていた桧は、
日本の人工林の多くで
取り組んでいるような
密に苗を植えて
枝打ちや間伐を
繰り返してきたものではなく、
全てが実生で、
つまり土に埋もれた種から
生えてきたもの。
適度に間引いていく作業は
共通していますが、
村の人たちが、
その森に芽生えた
小さな命を育てていくにあたり、
大事にしてきたのは根っこ。
なので見学に先立ち、
ご案内してくださった方が、
「木の根っこを
ぜひしっかりと見てください。」と。
根っこは地面に埋まっているのに
どうやって見ればいいのかな、
なんとなく肌で感じればいいか、
とくらいに思って
山道に入りましたが、
歩を進めて割とすぐ、
その理由が分かりました。
土の中から
少しだけ見えている根っこが
とにかく気持ちよさそうに
奔放に伸びています。
桧の合間に
様々な樹も生えていて、
今まで見てきた人工林とは違う、
大らかな気持ちよさが
そこにはありました。
なるほど、
こういう人工林のあり方も
あるのか。
根っこを大事にして
育てることはこういうことかと、
人間の世界にも
通じるものがあると思いました。
鎌倉滑川沿いの
某古民家にて。
暑い夏に始まった
外壁板の貼替工事が
本日の産業廃棄物の
引き取りをもって
全て終了しました。
きらくなたてものや支援のもと、
施工したのは、
なんと住まい手の方。
大工が貼り方を
教えたとはいえ、
住まい手の方が
器用とはいえ、
ご自身の仕事の合間に
約15坪の板を貼る作業は、
なかなか容易ではありません。
本当にすばらしい!
今後こうした
自主施工をしたい方々に
勇気を与えてくれるでしょう。
会うといつも
お話ししてくださる
苦労話もまた楽しい。
技術とともに
家に対する愛着を
育ててくれる自主施工、
相当の覚悟は必要ですが、
きらくなたてものやは
応援します。