夏至が近いので
熊谷た邸にて。
夏至が近いので、
午後7時頃まで明るいですね。
夕暮れ時、
建物の北側に
夕陽が当たるので、
北側の表情を撮るには
もってこいです。
この家の北面は、
目板張りの板壁。
玄関と勝手口の建具の
ガラスが入っている
縦格子の割付は、
目板張りの割付に
合わせています。
熊谷た邸にて。
土で壁を作るには、
下地の竹小舞を作り、
その上に荒壁土を塗り、
さらに何層も
塗り重ねていくのですが、
この家の居間は、
荒壁土仕上げ。
つまり最初の一層が
仕上げとなっています。
この壁が不思議なのは、
まだ「現場」であるときは、
壁の施工が
まだ途中なのかな、
という印象なのですが、
他が仕上がり、
そこが「家」になると、
とても味わい深い
壁となります。
塗った季節、藁の配合、
乾く速度、土の成分、
土を寝かした年月…
人間の仕業では
どうにもならない
様々な要素によって、
一つとして
同じ表情のものはない壁。
だから、
一つ一つの壁の前に立ち、
ついずっと壁を
見つめてしまうのです。
実は施工上は、
気を遣うべき点が多く、
たいへんだったりも
するけれど(笑)、
やっぱ好きだなあ。
今年の鎌倉エネルギーカフェの企画を
仲間と進めています。
エネルギーカフェを始めた頃は、
地域単位でエネルギーの自給が
できないものか、
という夢を描いていて、
今もその夢は
持ち続けていますが、
それはそれで、
環境への負荷が大きそうだ、
ということを
感じ始めています。
一方でここ数年、
エネルギーと向き合って
強く感じることは、
エネルギーって、
お酒や珈琲と同じように
‘依存症’になりやすいものなんだな、
ということです。
例えば、
エネルギーとして電気を使う
様々な家電機器。
数十年前までは、
なくて当たり前の
生活だったのが、
今や大半の人にとって、
なければやっていけません。
例えば、
室内の温熱環境。
エアコンの普及が
9割まで達した現在、
私たちの身体は、
「快適」な室内環境が
当たり前のようになって、
暑い寒いの許容範囲が
狭くなっているような
気がします。
だとすれば
大切なことの一つは、
「エネルギー依存症」
を見直し、
そのうえで、
豊かと思える、
幸せと思える暮らしを
成り立たせることが
できるかどうか、
真剣にそのことと
向き合うことなのではないかと
思い始めています。
また、
エネルギーを作ることは、
どのような方法であれ
少なからず環境に
負荷をかけるのだとすれば、
食べものなどと同じように、
「いただきます」と手を合わせて
エネルギーをいただくことが
大事なのではないかと思います。
今年は、
そんなことを伝えられる
鎌倉エネルギーカフェに
したいです。
地元の中学校の
「ふれあい体験学習」の一環で、
日本の伝統的な建築技術について
お話しする機会をいただきました。
これは2008年から
取り組ませていただいてる機会で、
今年で7年目です。
最初の頃、中学生は、
自分の子どもより年齢が上だったので、
だいぶ大人びて感じたのですが、
今年は子どもが二人とも
中学校を卒業したこともあり、
みんなかわいらしく感じます。
しかし自分の子どもが
中学校を卒業しても、
こうして中学校と
関わる機会があることは、
お互いにとって
いいことだな、と思います。
さて授業の内容は、
例年通り、
継手・仕口の模型や
実物を見ながら
木と家に関する話を
一時間ほどした後、
四寸角のスギを
ノコギリで切ってもらいました。
これをやり始めた頃は、
子どもたちは工具を触る機会が
少なくなっているのかなあ、
と正直感じましたが、
気のせいか、
年々うまくなっているような…。
しかも今回いちばん速い子で、
3分半!で切ることができました。
7年の間やってきて、
いちばん速かったと思います。
最近体験学習の機会が
増えてきた効果なのでしょうか。
ところで、
継手・仕口の模型は、
組んでばらして…、を
数十回やってきましたが、
ついに重ホゾが折れたりと、
傷みが目立ってきました。
そろそろ二代目が必要かな。
雨の降る日が続きますね。
外へ出て靴や服が濡れると
何となく気が滅入りますが、
しかし昨日お会いした、
樹と向き合った仕事を
されている方によると、
梅雨の前まで
木々は相当乾いていたので、
雨が降ってよかったです、
とおっしゃっておられました。
雨は恵み、と思えば、
自分が濡れることくらい、
ちっぽけなことに感じます。
さて来週は、
○○隊が目白押しです。
板塗りも竹小舞かきも、
単純作業の果てしない
繰り返しですが、
先日現場で、
お茶の時間に大工が言っていました。
「終わらない仕事はない。」
そして夕方、
その仕事が終わる頃、
みんなで何かを作り上げた
達成感を分かち合う時間が
何とも心地がよいです。
そんな心地よさを感じに、
皆さま、何卒ご検討のほど
よろしくお願いいたします。
なお人数確認のため、
ご参加いただける方は、
お手数ですが下記宛先まで
ご連絡をお願いいたします。
tamotsu.hidaka@kirakunat.com
【飯能で板塗り隊その1(6/19)のご案内】
※海老名た邸の外壁用の板塗り作業です。
■日時:平成26年6月19日(木)9:00〜日没
■場所:埼玉県飯能市
■集合:8時50分、西武池袋線「飯能」駅南口集合
■人数:10名程度まで
【横浜で竹小舞かき隊(6/21)のご案内】
■日時:平成26年6月21日(土) 9:00〜日没
■場所:横浜市都筑区池辺町
(最寄駅:JR横浜線「鴨居」駅)
(詳細は、お申込みいただいた方に個別に連絡いたします。)
■集合:現地9時集合
■人数:20名程度まで
【飯能で板塗り隊その2(6/22)のご案内】
※逗子せ邸の外壁用の板塗り作業です。
■日時:平成26年6月22日(日)9:00〜日没
■場所:埼玉県飯能市
■集合:8時50分、西武池袋線「飯能」駅南口集合
■人数:10名程度まで
■連絡事項
・持物:作業できる服装、運動靴、タオル、軍手
・雨天決行ですが、荒天中止となる場合があります。
(当日7時までに作業実施を決定します。)
・昼食は用意、またはごちそうします。
・交通費を支給させていただきます。
(一律1,000円とさせていただきます。)
ここのところ毎週火曜日は、
横浜す邸の竹小舞かき隊。
建主さんが営むトンカツ屋さんの
定休日だからです。
平日にもかかわらず、
大和から‘く’さん、
建築を学ぶ学生‘な’くん、
建主さん1名、
きらくなたてものや3名、
合計6名での作業。
みんな2回目以上なので、
とくに作業内容を教える時間もなく、
人数はいつもよりも
少なめでしたが、
壁8枚、三角形部分3ヵ所を
進めることができました。
日が長くなって、
遅い時間まで目が利くというのも
大きいですね。
ところで今日は、
建主さんの奥様が
けがをしていたにもかかわらず、
お昼やお茶の用意など
していただきました。
ありがとうございました!
きらくなたてものや、という名を
一級建築士事務所として登録して
今日で十年。
長い目で見れば、
今日は一つの通過点に
過ぎないのですが、
人口は減るし、
家は長持ちしたほうがよいし、
十年間この道で、
何とかかんとか
続けることができたのは、
星の数ほどの選択肢の中から
たった一つ、
私たちを選んでくださった建主さん、
またこれまで お互いに学び合い、
刺激し合いつつも、
笑い合って歩んできた
職人の仲間たち、
現場ばかり行って
なかなか事務所にいない中、
意図を理解して
図面を描いてくれてきた所員たち、
参加型家づくりに興味を持ち、
○○隊に参加してくださった方々、
こんな私たちの取り組みを
取材して広めてくださった方々、
工事でご迷惑をおかけするにもかかわらず、
あたたかく接してくださったご近所の皆さん、
そして何よりも、
自分のやりたいことを
なんやかんや言いながら
存分にさせてくれる家族のみんな、
とにかくたくさんの人に
支えられてきたからこそ、です。
こうした昔ながらの
家づくりを取り巻く環境は
年々変わっていったりもしますが、
伝統に学びながら、
今、心地よい暮らしづくりを
お手伝いする、
そんな変わらぬ想いを
私が息をしているかぎり
形にし続けられるよう、
死ぬまで一生精進、です。
ところで今日は、
一日竹小舞かき隊。
今日という日に竹小舞かき隊とは、
これも何かの巡り合わせです。
熊谷た邸にて。
居間と同じく、
玄関も達磨窯で焼いた
敷瓦の土間。
文字どおり
手作りゆえの
この場所に集まったものに
どれ一つ同じ顔がない
からこそのよさは、
モノも人間社会も
同じだと思うのです。