2015きらくな年賀状
新年明けまして
おめでとうございます。
本年も変わらず、
伝統的な手法を参考に、
現代を心地よく楽しく
暮らすための場づくりに
努めてまいりたいと思いますので、
よろしくお願いいたします。
さて今年の年賀状は、
「光と影を編む」と言葉を添えて
「きらくな網戸」を
紹介させていただきました。
現在きらくなたてものやが
定番のようにこの横格子網戸を
使っているので、
いつしか私の仲間たちは、
これを「きらくな網戸」と
呼ぶようになりました。
よく言われることですが、
ものごとには必ず
陰と陽がある。
影があるから光が生きる。
そんなことを暗示させる
「きらくな網戸」ですが、
この網戸は約三年前、
実は家づくりに要するおカネを
少しでも削減しようと考えた末に
生み出されたもの。
当初は、硝子戸、網戸、雨戸、
という三種類の引込戸を
設ける予定だったのですが、
雨戸は家を風雨から守る、
というよりは、
暑い日の夜、
安心して風を通したいという
要望を踏まえてのことだったので、
だったら建具の本数を減らすために、
鍵を掛けながら
風を通すことができないものかと
網戸をデザインすることにしました。
結果、
当初の目的を果たすだけではなく、
この光と影を編むような建具の影が
とても美しく、
また思いのほか外の風景を
阻害しないので、
とても気に入って、
それ以来ことあるごとに
提案しています。
このように、
かけるおカネを減らす、という
一見「陰」の要素にみえることですが、
それがあるからこそ、
いろいろと知恵を巡らせ、
新たな工夫という
「光」が生まれる。
その意味でも
この「きらくな網戸」は、
「光と影を編む」象徴とも
いえるのではないかと思います。
これからは人口が減り、
それに伴って
私たちがいる建築の世界も
需要が減って、
そろそろたいへんな時期に
差しかかろうとしています。
ましてや伝統的な工法は、
「絶滅危惧種」。
そんな「陰」「影」の要素が
押し寄せる時代だからこそ、
それらに打ち勝つとか、
負けるとか、
そういうことではなく、
如何に影に光を
織り込むことができるか、
私たちの生き様が
問われるのだと思います。
そんな思いで今年一年、
引き続き楽しく心地よく
暮らしていきたいと思いますので、
皆さまよろしくお願いいたします。