受け入れて流す
先日の「遠足」で伺った、
達磨窯が鎮座する五十嵐さんの工場にて。
ここへ訪れると、
現代の瓦と達磨窯で焼いた瓦の
違いを説明するために
五十嵐さんは水の溜まった古い風呂桶に
二つの瓦をジャボンと入れて見せます。
現代の瓦は
水が全くひかないのに対して、
達磨窯で焼いた瓦は、
みるみる水がひいていきます。
つまり瓦が
スポンジのように
水を吸うことの証拠です。
これにより
雨が降ると一時的に屋根が重くなる反面、
瓦の裏は水分、どころか、
湿気がこもることがなく、
また雨が降った後に
お日さまが照り、
水分が蒸発することによって、
気化熱が奪われ、
屋根に熱が
こもりにくくなります。
これは外壁に木の板を張った場合も
木も多少水を吸うので
似たような現象が起こります。
つまり現代は、
雨を含め外部のものは
徹底的に排除する、
一方で伝統的なものは
いったん受け入れて徐々に流す、
そんな考え方の違いが
瓦からもはっきりと読み取れます。
もっとも古い時代は、
技術的にそうするほか
なかったのかもしれません。
しかし雨に限らず、
「いったん受け入れて徐々に流す」
という素材の作法は、
なんだかとても日本的で
日本の気候風土に
合っているような感覚が
私にはあります。
実際に温度湿度の高い夏場は、
現代の家よりは格段に
小屋裏部屋が快適だし、
今のような梅雨時も、
家の中の空気がさらっとしています。
じゃあその効果のほどを
具体的に科学的に証明せよと
この現代は言われそうですが、
体感して気持ちいい、
まずはそれで
よいではありませんか。
余談ですが人間関係も、
そのほうがうまくいきそうです。