忘れかけていた光景
今日、パーマカルチャーの公開講座のため、東京農業大学に足を運ぶ。
私はスタッフとして、道案内人としてキャンパス内に立っていた。
すると、少しガタイのいい男どもがブレザーを着てぞろぞろと歩く姿が目に入ってきた。
どこかで見た光景だ。
そのうち、後輩と思しき人たちが大きな荷物を持っていて、その中にはラグビーボールが。
やっぱり。
恐らくここでラグビー部の公式戦、もしくはジュニアなどの試合が行われるのであろう。
こうした光景を目にするのは、何年ぶりであろうか。
とても懐かしかった。ラグビーしか見ていなかったあの日々のことを思い出した。
と同時に、思わず右足に目を落とした。
ラグビーの世界に少しでも触れると、どうしても13年前の3月20日、あの瞬間のことを思い出す。右膝の前十字靭帯を傷めた瞬間。今までの人生の中で、恐らく最大の挫折。
その後3回同じところを損傷し、いまだ治っていない。
3回目を損傷したのは3年前になるが、とくにそれ以来、意識的にラグビーの世界と距離を置くようになった。
3年前までは機会があったら草ラグビーを年に数回楽しんでいたが、ちょうど仕事のほうもアブラが乗り始めた頃なので、右膝の件は、「もうラグビーはあきらめようや、仕事に集中せい」という神様の思し召し、と考えるようにして、それ以来ラグビーとはテレビで観戦することさえ遠ざけていたのだ。
しかし今日、10数年前と同じような光景を目にして、その頃の自分、そしてあの瞬間のことを昨日のことのように思い出し、立ち止まって目を閉じた。
10年以上経った今もなお、まだ正面からその現実を受け止めきれない、あきらめきれない自分がいる。
しかし、あの日以来悔しい思いをしたから今があるのだ。
何が起こるか分からんから、行くところまで行け、濃密に生きようという気持ち。
それが強化されたから今の自分がある。仕事に没頭できる自分がある。
そして、人間の弱さを思い知った自分がある。
右膝の縫い傷は、自分の一つの里程標。右膝に感謝!
膝が膝なのでもうプレーするのは無理だけど、また再び少しずつラグビーと向き合っていきたいと思った。実は講座の最中、試合の様子が気になってしかたなかったのだ。