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2016年3月10日

最後の砦

カテゴリー: 神田え邸

神田え邸にて。

かつて上に増築した、

寝室として使っていた

塔屋部分の解体作業を始めています。

壁天井の下地を

剥がしてみると、

以前紹介した、

空襲で焼けた

柱ほどではありませんが、

またしても焼けた痕跡が

出てきました。

また、

外皮を遮るものは、

薄い鉄の波板のみ。

塔屋として、

重量の上では有利でしたが、

恐らく暑くて寒い

塔屋だったろうと思います。

しかしこのたてものは、

周りや社会環境の変化に翻弄されることなく、

生き延びることができました。

こういう状況を目にして

最近とくに思うのですが、

たてものの寿命を決めるのは、

がっちり作っても、

性能の高い家を作っても、

少々焼けようとも、

とても暑くて寒くても、

最後の砦は、

住み継いでいこう、

使い続けていこうという意思、

このたてものに対する愛だと

いうことです。

今回は、

この増築した塔屋のおかげで

雨仕舞がかんばしくなく、

たてものを傷める速度を

早めてしまう可能性があるだろうということで

塔屋部分は壊してしまいますが、

使い続けていこうという意思を

しかと受け止め、

このたてものに関わる人たちに

ずっと愛され続けるよう、

手を加えていきたいと思います。