切り取られた風景
昨日サッシが入り、
順次大工の手で、
取り付けられています。
その一つ、
写真のサッシは、
書斎の机の前の窓。
座ったときちょうど、
北側の柔らかい光とともに、
この切り取られた風景を
楽しむことができます。
間近の字を追いかけ、
目が疲れたときに、
遠くを思うように。
鎌倉く邸の
同じ間隔で連続する垂木。
この律動的な意匠が好きです。
そして、
鏡に鏡を当てたときに見える、
永遠の循環に吸い込まれるような感覚。
いつだったか、
古い日本の寺を見に行ったときにも、
この単純明快な意匠に、
心奪われたことがあります。
朝、
花、
飯、
脈、
息、
季節―
永遠の循環の先に見える光。
私は潜在的に、
これを求めているのでしょうか。
瓦葺きの仕事が
着々と進んでおります。
釉薬を塗らず、
達磨窯で焼いた
燻し銀の世界が
広がってきました。
一枚一枚の色もさることながら、
それぞれが違う表情を持っていて、
彼らの集積が
一つの形を成すことによって、
点描のような、
やさしい印象を醸し出しています。
この瓦、
機能面でも色々ありますが、
(これについてはまた後ほど)
何よりもまず、
焼き人、五十嵐さんの
人柄がにじみ出ている
このやさしい銀色が、
好きだなあ。
一枚一枚形も微妙に違うから、
葺く人を選びますけどね(笑)。
そういえばこの瓦を葺く金子さん、
会う度のあいさつが、
とても気持ちのよい方です。
藤岡の五十嵐さんが、
達磨窯で焼いた瓦を
屋根に載せるための
下地がほぼ出来上がりました。
五十嵐さんからご紹介いただいた
屋根屋の金子さんと、
あれこれ話し合ってこの下地に。
今回、瓦桟を受ける流れ桟を、
通常は左官壁の下地に使う、
木ずり板を使いました。
七寸八分間隔に並ぶ五分厚の瓦残と、
九寸間隔に並ぶ二分三厘厚の流れ桟、
さながら木格子屋根です。
これはこれでなかなか…、
と思っているのも束の間、
早速、軒先瓦と袖瓦が、
瓦桟に沿って、並び始めていました。
そういえばこの下地を見て、
いつだったかどこかで、
「瓦桟に使う木は、
外材よりも国産材の方がうんと長く持つんだ。」
と、そのときの屋根屋が言っていたのを、
思い出しました。
昨日は、
雷鳴轟く大雨。
そのため、
今朝現場を見てみると、
基礎にくるぶしくらいまで水が溜まり、
午前中図面を引く予定だった私は、
バケツ持って急きょ汲み出し作業。
作業当初、
なかなか水嵩が減らないので、
途方に暮れましたが、
やはり苦労は報われる、
お昼には目途が立ちました。
いやいやおかげさまで、
思いがけず、
腹筋と背筋が鍛えられました。
ところで昨日のカミナリ、
自宅で仕事をしていたら、
ピカッと光って
ドカンと鳴る音の間がとても短かく、
また工事現場が高台にあるので、
ちょっと嫌な予感がして
慌てて藤間さんに電話しました。
するとやはり、
現場から100mも離れていない場所に、
大きなカミナリが落ちたそうで、
その影響で、
どうも枝分かれしたカミナリが
こちらへ来たらしく、
雨が降ってきて野地板の養生をしようとするため、
屋根に登っていた藤間さんたちは、
ビリビリと感じるものがあったようです。
もちろん藤間さんたちは、
慌てて作業を中止し、地面に降りました。
カミナリの落ちた場所が、
工事現場よりも低い場所だったので、
カミサマが一歩間違えていたら、と思うと、
ゾッとします。
カミサマ、間違えてくれなくてよかった…