1階の床貼り進行中
1階の床貼りが、
ほぼ終わろうとしています。
きらくなたてものやの場合、
1階の床は、
下からの断熱性を確保するため、
板を二重貼りにしています。
つまり、
まず15㎜厚の規格外の板を捨て貼りして、
45㎜角の根太を流し、
仕上げに25㎜厚の板を貼ります。
その仕上げ貼りが、
現在8合目。
現在、
主寝室の三方の壁が
それぞれ違う色という、
おもしろいことになっています。
順番に、
緑いろの壁は、
竹小舞下地の部分の中塗りの色。
黄いろの壁は、
木ずり下地部分の中塗りの色。
赤いろの壁は、
仕上げの色。
三原色せいぞろい。
だけどこれから壁は、
全て情熱の赤いろに向かいます。
先週末、仕上げ塗りの色を決めたので、
さっそく、左官屋の湯田さん、
仕上げ塗りの準備。
左から、
白、赤、黄の土。
2階のお部屋に関して、
これらを使い分けたり、
調合して塗ります。
自然界にある
土の色だから、
どれも柔らかい色です。
寝室に塗る予定の、
ほんのりと赤い土壁の材料。
ここで湯田さんから不思議な話。
赤い壁ですが、
赤土だけだと、赤が強すぎて、
白土を混ぜます。
しかし白土を混ぜるとさらに赤が際立つので、
黄色の土も混ぜるとのこと。
割合は、
白:赤:黄=2:1:1、
それでとても雰囲気のある
玄奥な赤色の壁となります。
やはり濃い色は、
強く出てしまうんですね。
絵の具と一緒だ。
なお、念のため、
以前に塗り見本を作っていただいていますが、
ここで調合したもので改めて小さな見本を作り、
様子を見て塗るという段取りになっています。
仕上げ塗りに使う砂。
湯田さんのほうで調達した、
山梨産の白い川砂です。
(湿っているので、少し黒く見えます)
ホームセンターで売っているような
普通の黒っぽい砂を使うと、
やはり色の印象は違ったものになるようです。
そしてこの白い川砂を水で洗いながら、
7厘目のフルイでふるい、
目を揃えます。
大工の藤間さんの手で、
造作工事が進んでいます。
現在は、
内部外部の内法(うちのり)材の取付。
※内法材:敷居とか鴨居とか
今日は、
居間の外壁面にある
大きな木建具の
枠廻りの仕事を
していました。
縦枠に戸ジャクリがあり、
段差があることもあって、
小胴付きを付けて、
敷居材、鴨居材を、
スッポリと飲み込ませて、
納める加工。
たいへん手間のかかる仕事です。
だけど、
これなら木が収縮しても、
取り合いの部分が
スイてこないですね。
そのほか写真を見ると、
室内壁の土壁と取り合う部分、
外壁の板壁と取り合う部分に、
あらかじめシャクリを入れているのが、
分かると思います。
いつまでも建物をきれいに見せるためは、
こうした大工さんの、
見えないところの手間が、
とても大切なのです。
竹小舞下地部分の
中塗りが始まりました。
材料は、
中塗り土と荒壁土、
砂とスサ。
砂がたくさん入っているので、
触ると、
ジャリジャリした感じです。
塗った直後の様子。
まだ水気を含んでいるので、
深い緑色。
この色もいいですなあ、と、
左官屋さんに話したら、
この色を乾いた状態で再現するのは
たいへん難しく、
だからお茶会をやるときに、
あえて直前に茶室の壁を塗り替えて、
乾いてしまう前の、
この色の間に会を開くという、
趣味人の方が、
いらっしゃるそうです。
またこの壁は、
着物が擦れると
壁にすぐ傷がつくので、
緊張感のある佇まいになるのが、
いいのだそう。
乾き始めた様子。
ほんのり緑がかった色。
乾きが遅いところは、
下地に貫があるところ。
このほんのり緑の色も、
美しい。
しばらく中塗りのままでも、
いいと思ってしまいます。
事実、昔の家は、
そうすることが、
多かったようですね。
今日の午後、
職人さんに混じり、
現場で木建具の枠に
柿渋を塗りました。
枠には、
大工の手により、
鴨居溝、戸ジャクリ、チリジャクリなど、
様々な加工が施されています。
柿渋を塗ると、
設計者としても、
それぞれの状況の
確認を兼ねることができます。
さてそのうちの部材の一つ、「鴨居」。
建具の上枠に来る部材で、
引き戸の場合は、
戸が通るための溝が彫られています。
(写真真ん中)
しかしなぜ、
「鴨」なのでしょう?
辞書などで語源を調べてみたのですが、
それでも「鴨」である理由が、
よく分かりません。
建物の名称を示す言葉の中には、
「懸魚」だったり、「鳥衾」だったり、
たまに動物が居るのですが、
だいたい魔除けの意味合いですね。
一つ、「鴨」は水鳥だから、
火に関する厄除けの意味を込めて、
という説を見つけたのですが、
やはり「鴨居」も、
そういうことなのでしょうか。
しかし、感覚的に、
不思議な気がします。
例えば、
言葉としてその親戚筋ともいえるのが、
「鳥居」ですが、
鳥居が「鳥居」であることについては、
在る場所といい、形といい、
なんとなく感覚的に、
分かるような気がします。
先ほどの
「懸魚」も「鳥衾」も然り。
対して「鴨居」は、
それが在る場所も形態も、
あまりピンと来ないのが、
正直なところです。
魔除けにしては、
あまりにも身近すぎるから、
なんでしょうかね?
いずれにせよ、
たてものの言葉って、
たまにこうして、
不思議に思うことがありますね。
一昨日焼杉板作りが終わり、
また裏返し塗りも、
ほぼ乾いたので、
外壁は板を張る準備。
写真のとおり、
柱に厚さ20㎜の木(通気胴縁)を
打ちつけてから、
板を張るので、
壁の中を、
空気が流通する
通気層を形成します。
いわば、
木組みと土壁の家が、
焼杉板という、
服を着た状態。
土壁自体、
塗り重ねて外壁になりえますが、
やはりこうして保護するにこしたことはなく、
また夏も冬も、
この通気層が外気と室内の緩衝帯となり、
室内環境の変化を
より緩やかなものにします。
そして電気屋さんにとっては、
こういう家にとって数少ない(苦笑)、
配線のフトコロにも、なりますね。
一方、たてものに着せる服は、
素材が呼吸する
木の板か、漆喰などの左官仕上げ。
ここでは焼杉板ですが、
これらの素材を基本に、
‘服’をデザインすることになります。