木を見て
横浜栄こ邸では、
基本的に桧普請の家。
今材木屋に
どんな桧があるか、
確認してきました。
木は生き物、
全て規格化された
工業製品ではありませんので、
今使える木を見て
改めて計画を考える、
そんな設計の仕方も、
あると思うのです。
現在、茅ヶ崎あ邸は、
瓦葺きの最中。
屋根の上に、
斑な銀色の波が、
描かれ始めています。
ところで、
瓦の軒先の様子を
写真に納めました。
ご覧のとおり、
瓦の下も空気が
流れるようになっており、
また万が一、
瓦の下に水が
流れてしまったとしても、
外へ流れ出るしくみに
なっています。
しかも瓦自体が
昔ながらの燻し瓦、
水を吸ったり吐いたり、
呼吸をするいきものなので、
外見をととのえるだけではなく、
こうした下地部分の環境、
いわば建物の内臓をも
ととのえてくれます。
こうして
昔ながらの匠の技は、
知れば知るほど、
風土に根付いた表情を
与えてくれるだけではなく、
気候風土に対して
理に適った機能を
持ち合わせていることが
多いことに気が付きます。
あるいは
昔ながらの建物は、
デザインの一つ一つに
意味があると
言えるのかもしれません。
現代でも、
こうした技と知の結晶を
生かしていきたいですね。
先日4月9日、
居間の幅9尺の壁を
左官屋の湯田さんたちに
仕上げていただきました。
実は既に、
この部分の仕事だけ残して
‘む’さんには
入居していただいております。
なぜならここの仕上げは、
沖縄土による大津磨き。
設計段階の頃、
ちょうど‘む’さん一家が
沖縄の旅に出かけ、
帰って来られて沖縄の様子を
お話ししていただいた時の目が
とても輝いていたのと、
沖縄土のあたたかい雰囲気が
この家に合うと思い、
居間の一番目立つ壁にこの仕上げを
提案させていただいたのですが、
しかしこの仕上げは、
より繊細な仕事が求められ、
仕事の時期も、
あたたかい頃のほうが望ましいので、
この時期を待って湯田さんたちに
手をかけていただくことにしました。
さてこの仕事、
9尺×7尺の壁なので、
せいぜい2人で仕事するのかと思ったら、
仕事ぶりを覗いてみると、
何と丸1日、4人がかり。
平滑な仕上がりとするために、
下地作りも含めたら、
いかに繊細で
手間のかかる仕事か
分かります。
仕上げは、
土を磨くための特別な鏝で、
力の斑が生じないよう、
鏝をぐっと押し続けながら、
ていねいに横に滑らせ、
これを何回も何回も
繰り返します。
湯田さんたちの
その仕事ぶりは、
いつにもまして、
鬼気迫る雰囲気を
醸し出していました。