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2006年5月13日

風土と伝統が作る本物の食の世界

カテゴリー: ピスカリア

今日は葉山芸術祭出展の最終日。
今日はピスカリアにて、ナチュラルハーモニー河名秀郎さんの「風土と伝統が作る本物の食の世界」という題でお話をいただいた。

ナチュラルハーモニーは、ピスカリアで使う野菜の出身地だ。

あいにくの雨だというのに、たくさんの方にお集まりいただきましてありがとうございました。

河名さんの話は何度となく聞いているけれども、休憩もなく約3時間にも及んだその話は、その時間を感じさせないほど、心揺さぶる、興味深いものだった。

野菜の話、食の安全の話、‘栄養’の話、醗酵食品の話…、それぞれ何が本物なのかを示唆いただいた。
そして河名さんの主張を自分なりに総括すると、

・自然界をよく観察する
・自分の感覚に素直に
・自然界の恵みを心していただこう

ということになろう。

これは食だけではなく、生き方にもつながる話である。
いや、食の話だからこそ、生き方につながる話なのであろう。

今回のように、衣食住、心地よい暮らしの提案を随所でしかけていければと思います。

それと、連休中に2階で開催していた建物に関する展示ですが、諸事情で本日は開催できませんでした。
それ目当てにお越しになった方もいらっしゃったのに、たいへん申し訳なかったです。

・・・・・

講演終了後、ご参加いただいた一部の方と夕食をピスカリアで。
今日は昼食もここでとったので、2食連続でピスカリアだが、全く飽きない。
イタリアン(「シチリア料理店」ですけどね)というとけっこう胃にもたれることが多いが、ピスカリアの場合は油がいいのか、まったくそんなことはない。
むしろ、食後爽快感を覚えるほどである。

いつものとおりいろいろなメニューをいただいたが、今日はとくに、たぶん今春最後となる海老のバベッティーニと苺のジェラートを楽しむことができてよかった!

2006年5月7日

「家ってなんだろう」と考えた

カテゴリー: ピスカリア

5日間、連日開催していた葉山芸術祭の催し、「風土と伝統が作る心地よい暮らし」も今日で一段落。
来週土曜日も開催されるが、河名さんの講演が主なので、実質的には今日が最終日。
5日間、早かったな〜。

今日は、自分の持ち場を抜け出して、以前から主催者に誘われていた催し「くうねるところにすむところ読書会‘家ってなんだろう’」に参加した。
どんな内容かというと、益子義弘さんの「家ってなんだろう」という絵本を手本にして、
・きみの「家」のイメージはどんなだろう?
・きみが一番好きな「家」の中の場所は?
・きみの「家」の20年後を考えてみよう
というお題に対して、参加者がそれぞれ自由に絵で表現するというワークショップだった。
いやあ、おもしろかった!
自分の家に対する意識について顕在化させることができたとともに、子どものように鉛筆で、ガシガシと無心で絵を描くという行為そのものが楽しく、かつ私たちにとって大切なことだということを再認識することができた。
自分たちのように建築設計を仕事とする者でも、最近はCADが主流で手を動かして表現する行為をつい見失いがちだが、やはり脳と手が直結して表現するような感覚はとても大切なことだ。
この行為により、紙の上には自分の全てがさらけ出される。
上手い下手関係なく、最も相手に自分の想いやイメージを伝えることができる手段であるとともに、自分自身というものを深く見つめなおすことができる。

さらに、参加している人たちとの交流もまた楽しいものであった。
葉山にはとても愉快で楽しい人たちが住んでいる、あるいは関わっていることを改めて感じた。

とくにびっくりしたのは、学生時代、オープンデスクで2週間お世話になった設計事務所の代表の方に偶然お会いできたことだ。これには本当に驚いた。
当時は知らなかったが、鎌倉にお住まいらしい。
10数年前の話だが、お変わりない、元気な様子で何よりでした。

こうして楽しいひとときを過ごし、夕方自分の持ち場に戻る。
するとすぐ、実家に帰省していた妻と子どもとピスカリアで合流。
催しの後片付けをした後、家族でピスカリアの食事を楽しんだ。

いつものごとく美味しい食事。
とくに昨日常連のKさんに教えてもらい、今日初めて注文した海老のバベッティーニ、これは本当にヤバい。
今までは桜海老と季節野菜のスパゲティがお気に入りで、いつも欠かさず注文していたが、これも定番となりそう。
…と思っていたら、そろそろ海老は禁漁期になるそうで、もう少ししたらお預けになるとのこと。
来週土曜日が春の食べ納めかな。

(写真は、桜海老と季節野菜のスパゲティ)

さらに今日はもう一つの新発見。
ピスカリアに置いてあるオリーブオイルがとても美味い!
とくに舌に正直なこどもたちは、「おなかいっぱい」と言っていたのに、しかもデザートも食した後だというのに、ピスカリア特製フォカッチャにオリーブオイルを付けて、競うように食べていた。
そしてパンがなくなると、なんと残った油を指ですくって食べていた。
少々行儀が悪いが、気持ちは分からないでもない美味さだ。
なんでも、その油はイタリアの伝統ある然るべき場所で、昔ながらの製法で作った油だそうだ。

やはり風土と伝統に根ざしたものは、身体に心地よい。

2006年5月6日

太陽と海、風と土

カテゴリー: ピスカリア

朝いつものとおり、5時30分起床。
我が家の東の窓から射し込む朝日がまぶしい。
夏の到来を予感させる。

葉山に向かう道中、鎌倉の海岸にて。
黄金週間ということもあり、海を遊ぶ人で賑わっている。
しかも今日は風も強く波も高く、サーフィンやウィンドサーフィンを楽しむには絶好の日だ。
玄関の土間に鎮座する私のサーフボードの出番はいつの日になることやら。

葉山にて、自分の催しが始まる前に、以前から誘われていた別の催しに足を運んだ。
場所は真名瀬海岸を少し入ったところの古民家。
古民家の前に広い板張りのテラスがあって、実に風の気持ちよい場所だ。
そこで、佐藤正治さんの写真展が行われていた。
それとともに、昔の家の清涼さに改めて驚いた。
鎌倉の自宅から約40分自転車を漕ぎ、汗だくでここに到着したのだが、建物の中に入るやいなや、身体の火照りを忘れるほどであった。

さらに幸運なことに、今日そこで夕方からハープとフルートのライヴがあったそうなのだが、ハープ奏者の方が早めにお越しになっていて、テラスでハープを奏で始めたのだ。
実に美しい旋律が、辺りの時間を支配する。
そして古民家の庭を背景に演奏する、絵に描いたような空間。
自分の催しの準備のため早めにおいとまするつもりだったが、腰を落ち着けてこの珠玉の時間を楽しんだ。
夕方のライヴ、参加したかったな〜。
身体が二つあれば。

12時前、急いでpiscariaに戻る。
やはりこちらも相変わらず清涼な空間。

今日も、たいへん多くの方々に来ていただいた。
いっときは、M代さんの友だち家族、今までお仕事でご一緒した方々、元所属していた会社の後輩とその仲間たち、泥団子の噂を聞いてご来場いただいた方々…、2階に20人くらい居合わせていたのではないだろうか。
ご来場いただいた方々、本当にありがとうございます。

私はといえば、お昼にご近所の常連さんとお食事をご同伴預かることになり、ワインもご馳走になってしまったので、赤ら顔で皆さんの応対させていただくことになった。失礼いたしました。

さて、今日も昨日に引き続き泥団子作りを楽しんだ。
まずは子どもたちから制作開始。
先に完成品を見ているので、自分も美しい玉を作ろう、とやる気満々!
しかしじきに大人たちも出来具合が気になり始めて、大人たちも手を出し始める。
なかには親子で作業を取り合う微笑ましい光景も。
いやいや分かります、玉を磨いているとその玉に自分を投影し、人に譲りたくないほど作業に没頭してしまうのだ。
その現象に、大人も子どももない。

というわけで、泥団子作りを始めてからあっという間に3時間が過ぎ、今日は子どもたちによる独創的なデザインの玉がたくさんできた。
家に持ち帰って、さらに磨きをかけてみてください。

2006年5月5日

今日は泥団子作りを楽しんだ

カテゴリー: ピスカリア

今日は、左官屋の湯田さんのご好意で、鮮やかに光る泥団子を作ることに。
昼ごはんを済ませた後、来場者とともに泥団子を作った。
子どもの日ですしね、お子さんの参加が主でした。

自分も挑戦したが、もしかしたら子ども以上に玉磨きに熱中し、いろいろな方法を試しては磨いていた。いや〜、おもしろかった!

明日以降ですが、湯田さんがたくさん下地の団子を用意してくれたのと、仕上となる秘伝の土を置いていってくださったので、明日以降は湯田さんはいませんが、引き続き泥団子作りを楽しみたいと思います。

ところで、毎日葉山まで自転車で通っている。
ゴールデンウィークということもあって、むしろ自転車のほうが車よりも速く到着するような道路状況。

それでも大仏のあたりと長谷観音のあたりは、道路が狭い中車も歩行者もごったがえしているので、自転車もなかなか前に進まない状況となる。

海沿いの国道134号に出ると、右手に海を見ながら実に気持ちよく走ることができる。
とはいえ意外に坂道が多いので、渚橋に着く頃には足と心臓が相当悲鳴を上げている。
また、向かい風のことも多く(とくに滑川を過ぎた辺りは南を向く)、さらに葉山に向かう方向は微妙に地形が上がっているので、思ったよりもスイスイとは進まない。
自転車だと、車では決して気づかない、微妙な地形の変化や風の状況がよく分かるのだ。
というわけで、葉山芸術祭のおかげで、意外に山あり谷ありの往復約25㎞の道のりを毎日自転車で走るという、とても健康的な日々を送っている。

それと、葉山芸術祭に出展している間の毎日の楽しみがピスカリアの美味しくて健康的な食事。
何しろ野菜がナチュラルハーモニー発の無施肥無農薬の野菜である。
魚も基本的に地のものである。
(肉は、ない。)
今日は大工の藤間さんと左官屋の湯田さんとともに昼食を楽しんだ。
何回食べても毎日食べてもうまい!
どおりで毎日お客さんが多いわけだ。

2006年5月4日

今日は偶然の再会を楽しんだ日

カテゴリー: ピスカリア

葉山芸術祭出展2日目。
今日も多くの方に来ていただきました。
ありがとうございます。

とくに今日は、大工の杉原さん、棟梁の後藤さんが登場!
とくにしめしを合わせたわけではないようですが、やっぱり同じ釜の飯を食っているだけはあります。
夕方以降はとくにいらっしゃる方がいなかったので、客席のほうで久しぶりの再会を楽しんでました。

また、葉山芸術祭に向かう道中、高校の同級生のHちゃん夫婦とばったり再会。
以前も葉山で何度となくこういうことがありましたが、葉山は偶然人を引き合わせるまちです。

最後に、帰り際に見た葉山港からの夕日の光景。
海と江ノ島と富士山と夕日の美しさに、しばし自転車を停めて眺めました。
いい黄金週間だ。
明日もよい出会いがあるといいな。

2006年5月3日

葉山芸術祭出展開始!

カテゴリー: ピスカリア


今日は絶好の行楽日和。
海辺にはゆらゆらと動く鮮やかな帆がひしめく。

そんな日和の中、葉山芸術祭の催しの一つ、「風土と伝統が作る心地よい暮らし」がpiscariaにて始まりました。
本日早速お越しいただきました皆さん、ありがとうございます。

出展内容は、空間そのものを見ていただくとともに、
・軸組模型
・仕口/継手の模型
・左官仕上見本
・土の見本
(左官屋の湯田さんが、今回の展示用にとても立派な見本を作っていただきました。
・piscariaができるまでの工程の一部を紹介
・piscariaの施工に関わってくださった職人達の紹介
・「きらくなたてものや」の考え方
などを展示しています。

基本的に私もそこに居て、必要に応じて説明させていただいております。
葉山芸術祭の他の催しも楽しそうなので、連休中、葉山へぜひ遊びに来てください。

ついでに、piscariaの食事もぜひご堪能ください。
その場合は予約を入れておいたほうがよさそうです。
今日はたくさんの人で賑わっていました。

2006年4月30日

Nさん、木に愛を注ぐ(5回目)

カテゴリー: 横浜な邸

今日は暖かく、絶好の柿渋日和。
そんな中、Nさん一家とOさん、そして私とで例のごとくウッディカネコ鎌倉営業所の一角をお借りして柿渋作業。
今日初めて来ていただいたOさんは絵も描かれるということで、さすがに手際がたいへんよい。

今日塗った材は、母屋と谷木。
スギである。(というか、今後スギしかない)
今までは4寸角が中心だったが、4寸×5寸の平角、4寸×7寸の平角と、だんだん材が大きくなってきた。
材の移動と、塗るために材を回転するのに、労力を要するようになる。
運ぶのはもっぱら私の役割。
おかげで足腰の鍛錬になります。

柿渋作業のよいところの一つは、大工の息づかいと誇りと苦労を間近に感じることができることだ。
とくに今回は寄棟の建物なので、その凄みをいっそう感じさせてくれる。

2006年4月23日

Nさん、木に愛を注ぐ(4回目)

カテゴリー: 横浜な邸


今日は雲行きの怪しいお天気だったが、作業決行!
幸い霧雨だったので、ほとんど作業に影響せず、順調に進んだ。
むしろ私としては、今日木材の運び役に徹したので、この肌寒さがちょうどよいくらいであった。

さて今日塗った木材は、垂木と隅木。
隅木の刻みはすげえな、と改めて感心しながら塗る。

本数は合計42本。
3人(Nさん夫婦と私)で塗ったにしては、なかなか快調なペース。

というわけで、今日木材の運搬役であった私は、延べ約200本は材を運んだ。
42本を小屋の奥から作業場所まで1回、作業後乾かす場所まで1回、2回塗りのため乾かす場所から作業場所まで戻すのに1回、2回目塗ってから再び乾かす場所に戻すのに1回、最後乾いてから小屋の奥にしまうのに1回、合計5回、最後の1回は半分近く大工の藤間さんが運んだ分を差し引くと、だいたい延べ200本となる。
4寸角が主だったので重さはそれほどではなかったが、最後はさすがに腕にきた。
めざせ、歌って(音楽を楽しむ)踊れる(体力勝負!)たてものや!!

2006年4月21日

紙の世界

カテゴリー: 目黒か邸


紙が作る世界は、はかなくて柔らかい。
柔らかい光と影の世界を作る。
その柔らかさが、生活に心地よい緊張感を与える。
気をつけないと、後々こっぴどく怒られることになりますからね(笑)。
まあ子どもたちというものは、柔らかさのあまり、何かせざるを得ない気持ちになるわけだけど。

そして紙の世界は、八百万。
紙が作る世界は移ろいやすく。
そして紙の種類は、星の数ほど存在する。

紙は、あまりにも日本的な素材である。

2006年4月20日

光を濾過する装置

カテゴリー: ピスカリア


ピスカリアの客席の東側には、摺りガラスが3枚連続して入っている。
淡く東の光を感じるために、また伝統的な建築手法による空間を軽快に見せるためのしかけである。
摺りガラスは、最近では後に述べる欠点のせいかあまり見かけないが、日本で伝統的に使われる障子紙と似て、隣家同士のプライバシーを確保しつつ、光を気持ちよく濾過する装置であり、気に入っている建築素材の一つである。
型ガラスなどのように恣意的ではないから、純粋に淡い光を楽しむことができる。
また、昼と夜とでは違った表情を楽しむことができるのもよい。

摺りガラスの欠点は、水に濡れると透明ガラスのようになってしまうのと、手垢がつきやすいことだ。
欠点を知ったうえで使う場所などを考えたほうがよいであろう。
ちなみにここでは透明ガラスとのペアガラスになっているので、水濡れは大丈夫。