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2006年3月7日

開き直る構造 その1

カテゴリー: ピスカリア


最初で最後といってよい、客席ががらんどうの状態。
しばしその状態を堪能した。
野太い柱、野太い梁は、空間のゴツさよりも、空間の安心感と安定感を与えてくれるような気がした。
開き直る構造。だからだろうか。

ところで、この建物に使われる構造材には隠された秘密がある。
その話は後日改めて。

2006年3月6日

工事現場からイエへ

カテゴリー: ピスカリア


I邸で置く予定のテーブルと椅子を並べる。
テーブルはクリの板。
椅子は籐と鉄。

Iさんと大工の後藤さんと私でテーブルを囲んで座る。
考えてみれば、現場にこうしてゆっくり椅子に座る時間は初めてではないだろうか。

工事現場からイエへ。
この場所にくつろぎの時間空間が訪れつつある。

2006年3月4日

いよいよ現場始動!!

カテゴリー: 横浜な邸


来週から解体工事が始まるため、建て主のNさん、大工の藤間さん、解体屋の安間さんと私とで挨拶回り。
やはり昔からの近所付き合いがあることもあって、皆さん快く迎え入れてくれた。
工事を進めるうえで、近隣への対応というのはとても大事なので、順調な滑り出しだ。天気も良かったことだし。

さて来週から、35年の思い出が詰まった家を解体。
既に荷物はほぼ出されていて、がらんどうの状態である。
これから新たな家が建つ楽しみがある一方で、Nさんの思い出が摘まれる寂しさを感じた。
そして昨日葉山で見た解体工事の現場を思い出す。
解体工事というのは、やはり胸が締めつけられるようなものを感じる。

ともかく来週から劇的に現場は動く。
今年の楽しみがまた一つ増えた。

2006年3月3日

残りわずか

カテゴリー: ピスカリア


写真は、お店で使う予定のテーブル。
床材で使ったクリの厚板を転用して作った。

それ以外でもIさんは、自分の丸鋸など大工道具を購入して、時間を見つけてはせっせと収納用の家具を作ったりした。

そのため、この建築現場は、驚くほど残材が少ない。
いくら伝統構法の現場はゴミがとても少ないからといって、ここまではならない。

この現象はIさんの機転によるところが大きいけれど、材を使い回し、ホネの髄まで無駄なく使うことができるというのは、伝統構法の特徴だ。

それでも余ったらしばらく置いておいて後で使ってもよいし、あるいは薪にして燃料にすればよい。

それもこれも知恵次第。
知恵が満載だから、伝統構法は面白いのです。

輪廻転生

カテゴリー: ピスカリア


先ほどの記事のように、失われる生命もあれば、再び生きる生命もある。
写真は、葉山にある桜花園という、古材などを扱う店で買ってきた建具。
訳あって建具を取り付けたい場所ができたのだが、時間もお金も残り少ない中で、古建具を取り付けることになった。

それにしても昔の建具は芸が細かい。
見れば見るほど感心するばかりだ。
そしてこれが2万円しないとは…

桜花園さん、N邸に引き続きお世話になります。
こうして家の中に一つでも、昔のものが入るのはいいものです。

※桜花園HP
http://members.jcom.home.ne.jp/okaen/indexf.html

2006年2月25日

ガラス屋の世界

カテゴリー: ピスカリア


今日は朝から夕方までI邸の現場に居て、細々と作業をした。
今日は大工、アイアン屋、ガラス屋、設備屋が現場に入り、また最後は板金屋とエアコン屋が顔を出して、竣工直前ならではの慌しくも賑やかな雰囲気だった。

ガラス屋の須藤さん。
今日はお互い「待ち」の時間が多かったので、ガラスの切り方、コーキングをうまく打つための道具、ガラスの種類についてなど、仕事の話をいろいろ聞くことができた。
それぞれ「プロ」の世界があるんだなあ、と改めて感心した。

…昼過ぎになり、玄関ドアが取り付けられてガラスを入れ、コーキング作業にとりかかる。
ガラスをはめ込むのは数十分。
しかしコーキング作業に2〜3時間要していた。
その大半は養生作業。
90cm×2mの建具だけど、養生の長さはなんと30m以上にもなる。
しかも養生テープをきれいに貼るのはとても根気のいる作業なのである。
養生テープをようやく貼り終わった後、「腰が…」と言っていたが、納得!の作業である。

ところで須藤さんは、大東文化大学ラグビー部がとても強かった時代のスクラムハーフで、当時高校ラガーマンで大学ラグビーの試合をテレビや生でよく観戦していた私としては雲の上の人のような存在である。
とはいえイカつい印象ではなく、とても柔らかい、物腰の低い方で、まさか「あの須藤さん」とは、話をするまで気がつかなかった。

2006年2月23日

まちが作る家

カテゴリー: ピスカリア


南側にバルコン兼パーゴラを取り付ける工事の様子。

敷地に余裕がないため、隣接するH後さんのお庭を全面的にお借りして作業。
音もバリバリ立てているのに。
いや本当にありがとうございます。

このお庭は、休憩時間にも休憩場所として使わせてもらっています。

お庭だけではありません。
駐車場に、職人たちや私の車も、快く停めさせていただいております。

さらに3軒先のK峰さんのところにも、車を停めさせていただいております。

H後さんやK峰さんに限らず、近所の皆さん、毎日のように現場の様子を気にかけてくださっています。
お友達のように、話しかけてくれます。
「まだやっとんのか〜」という感じでしょうが(笑)。
皆さん、完成したらおいしいごはんを召し上がりに来てください。

家づくりを通じて、こうして建主、職人、設計者、近所の人たちが顔の見える気持ちよい関係作りにつながっていくのは、うれしいですね。

この家は、このまちの皆さんとともにあります。

(…なんだか、市議会議員の街頭演説みたいだな。)

伝統構法なのにイタリアン続編

カテゴリー: ピスカリア


先日塗った土佐漆喰混じりの砂漆喰。
乾いて少し白くなった。

それでもほんのり黄色を帯びていて、真っ白よりも品がある。

昼休み、建具屋の新井さんと話していたのだが、湯田さんが塗ると、粗い感じで塗っても端正に感じる。

葉山なのでまりんらんぷ

カテゴリー: ピスカリア


客席に通じる廊下に、マリンランプが取り付けられる。

今まで、どちらかといえば照明器具はできるだけ存在感がないように設計することが多かったのだけど、この照明器具を見て考えが変わった。
マリンランプ。
「葉山」によく合う。

照明器具が取り付けられるということは、あともう少しで完成!!
待ち遠しいが、さみしいなあ。

2006年2月19日

伝統構法なのにイタリアン

カテゴリー: ピスカリア


湯田さんによる左官仕事が終わった。
2階は白土塗。
1階のお店になる部分は、砂漆喰(土佐漆喰と白漆喰を混ぜてます)。
いわば日本で伝統的に使われる仕上だけど、ガサッと塗ってもらうと一気にイタリアンな雰囲気となる。
これが左官仕上のおもしろいところだ。

左官だけではない。
日本の伝統的な手法だけを使っても、空間を作るうえで様々な実験、挑戦は可能だ。

日本の職人文化のこと、木の文化のこと、森のことなどを考えると、この先「伝統的手法」による仕事を続けていきたい。
しかし伝統的手法を使うとしても、こうして「今」の空間を形作っていきたいと思う。
逆に「今」の空間を提案していくことによって、伝統的手法が生きたものとなり、存続していくものだと考えている。