まちを感じる家
「きのかの家」は、
「家」ができたというよりは、
「まち」が現れた、
もしくは、
「まち」ごと移住してきたのだと、
錯覚するときがよくあります。
建物の中にいろいろな「場面」があり、
路地のように入り組んだ通路も
そう感じさせる一因ですが、
できて間もないというのに、
常に住む人たちのふれあう音が
聞こえてくるからだと思うのです。
今日もよいお天気。
きのかの家の陽だまりに居ると、
本当に温かい。
温かい日差しに誘われて、
クリとカヤとヒノキが重なり合い、
それぞれの木が踊っているような、
不思議な雰囲気を
醸し出していました。
毎日数世帯の方が、
きのかの家に引越し。
順次、各戸で生活が始まっています。
未だに実感がわかず、
つい、無断で住まいの中に、
入ってしまいそうです。
でもこうして、
みんなの生活の灯が入り始めると、
うれしいなあ。
今日はみんなで、
きのかの家の探検。
一日かけて、
みんなで共用部分を練り歩き、
そして、
お互いそれぞれの家を
ほぼ全て見て回りました。
それぞれの家を見て回ったときは、
お互いの発案や考えの
お披露目会みたいなもので、
ああなるほど、とか、
こういう考えもあったのか、とか、
もう一度設計してみたい、とか、
だいぶん盛り上がりました。
しかし一気に30軒近く見て回ると、
さすがに疲れました。
みんなも同じ気持ちだったようで、
最初のほうはかなり丁寧に見学しましたが、
最後のほうの見学の速度の、
早いこと早いこと(笑)。
探検の後は、
きのかの家を育ててくれた古民家で、
元の地主さんを交えて、
入居の前祝会。
まだほとんど実感がないのですが、
2年間紡ぎ続けてきたこの物語も、
そろそろ終わるんだろうなあ、と、
今日一日、
そして夜の酒の場で、
みんなの嬉しそうな顔を見ながら、
そう思い始めるのでした。