2006年3月25日
エコヴィレッジの焼杉作業2日目。
お天気に恵まれ、作業日和。
今日も20名近くの方に集まっていただいた。
バーナー4台でひたすら杉板を焼く。
作業中は、ゴーッとすごい轟音の四重奏だ。
相手は杉板だから気をつけないと、焼くどころか燃えすぎるんじゃない?と思うかもしれないが、いやいや、これがなかなか焼けないのだ。
乾燥しきっていない杉板はなおさらだ。
そして一度炭化し、黒々となった部分は、そこが「耐火被覆」となってそれ以上焼くのは難しい。
とくに焼きにくいのは、節の部分。
しばらくバーナーを当てても、燃えた感じがしない。節全体で‘樹液が踊る’のだ。
そして樹液が出きった後、ようやく炭化を始める。
ちなみに節を焼くコツは、「樹液を飛ばすように焼く」。
上からバーナーを当てるのではなく、横からなめるようにバーナーを当てる。
そうすると、節の周りの部分が焦げすぎてしまう、という恐れも少なくなる。
いずれにしても、作業をすると、木は燃えにくいんだなあ、ということがよく分かる。焼杉板のように黒く炭化した状態にすればなおさらだ。だから昔の人は、「耐火材」として焼杉板を外壁、とくに妻側(隣の住戸と接する面)に使った。
さらに焼杉の性能についていうと、焼杉板は建物全体の通気性を確保しつつ、耐久性もそこそこある。
昔の厚さが1㎝ないような板(今回は厚さ1.5cm)でも、築後100年経っても‘現役’であるものをよく見受ける。
傷んだところが出てきたとしても、局部的な補修ができるというのも、長持ちの要因だろう。しかも100年経っても‘廃番’になることはまずないので、いつの時代でも調達できる。まして住民が今回のように自主施工を行い、作り方を会得したならば。
確かに、外壁材について耐火性能などを数値で判断すれば、サイディングなどの新建材ほうが優れているかもしれない。しかし、性能の科学的評価に加えて、修繕のしやすさ(私はこれを耐久性の大きな要素として考えています)、意匠性、あるいは‘愛着’といった情緒的な面などを総合的に考えたときに、焼杉板は外壁材として積極的に採用したい素材の一つである。
それに、日本の長い歴史の中で使われてきた焼杉板、その板をしばし眺めていると、やはり私たちの遺伝子をくすぐる何かがある。
追伸
焼き作業が余韻を引きずり、その日の夜は家族で焼肉を食べに行きました。