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2006年10月19日

地域循環のしかけ様々な分野で進行中


NPOの会議で山梨のみずがきランドに足を運びました。

この地域で採れる材料で作った土壁小屋ですが、ここのところ晴天続きとのことで、良い感じで土が乾いていました。

ここで面白い試みを発見!
小川程度の水の流れを利用して電気を作ろう、というものです。
これ、まちの道路の下に流れている下水管や雨水管などで使えんかなあ。
いずれにせよ、安全性に配慮しつつ、エネルギーが身近なところで自給できるとよいですね。

2006年10月8日

土壁小屋作り番外編


8月は大工仕事の、9月は土壁作りのワークショップで作った小屋に少し手を入れるため、大学時代の友人であり、今は鎌倉の我が家から徒歩3分の家に住むKMDとみずがきランドに行ってきました。

作業自体は午前中で終わってしまったため、周りの掃除と、畑仕事の手伝いと、秋の山に入ってキノコ採りと、密度の濃い一日でした。

美しい秋空の下、神々しいみずがき山に見守られての野良仕事を終えた今、心地よい疲労感を感じているところです。
今日は半分仕事で来ているわけですが、今日のように平日は鎌倉でたてもの作りの仕事、週末は野山に出て身体を動かす野良仕事という生活は、ともすれば単調になりがちな日常にメリハリを作り、それぞれの仕事の相乗効果をもたらすので、なかなかよいですね。
焼杉作業が終わろうとしているので、週末何かすることをそろそろ考えよう。


土壁塗りをしてから2週間後の様子。
だんだん土が乾いてきています。
やはりこのあたりの土は黄色いですね。


わずかな時間ですが、芋掘りを手伝いました。
土壁塗りのときも感じましたが、土と戯れていると、時間が経つのが早いです。


夕方、山に入ってキノコ狩り。
山に入る前に、食べれるキノコの種類を幾つか聞いたのですが、この時期いろいろな種類のキノコが生えているので、それぞれ確認しながら摘んでいきました。

だんだんコツが分かってくると、これはなかなか楽しい!
山の中の、宝探しのようなものです。

木漏れ日の美しい、山の中でした。


黒森の、秋の夕暮れ。
急に冷え込んできました。
秋の黒森の朝夕は、着込まないと寒さが身に沁みます。

2006年9月24日

たてもの楽入門第2章〜土壁を作る〜

9/23、24は、山梨県みずがき山の麓にて、第二回目の山仕事塾を開催しました。
前回は、参加者とともに小屋の木組を作るワークショップでしたが、今回はそれに壁を作る作業です。

木組と同様、壁についても日本の伝統的な構法を踏襲し、竹を割き、竹小舞をかいて、そこに去年の11月に開催したワークショップにて仕込んだ荒壁土を塗って作りました。

今回は、子どもからご年配の方まで、実に幅広い属性の方々に参加していただきました。
子どもも大人も、途中皆無言になるほど、作業に没頭していました。
とくに泥を使う仕事とコテを使う仕事!
土や泥は、大人も子どもも関係なく、私たちを熱中させる何かがあります。
私自身、思う存分楽しませてもらいました。

■1日目(9/23)

朝の様子。
これから作業を行うところです。

ワークショップ開催前に、野地板貼。
屋根の下地を作り、雨に備えます。

いよいよワークショップ開催。
まずは竹小舞の竹作りから。
竹を竹割器で割き、ナタで節を落とします。
竹割器で竹を割く作業は、子どもたちに人気でした。
確かに、きれいにスパッと割れる様子は、快感ですもんね。
作業もなかなか上手で、たくさん割いてくれました。

編んだ竹を、編みこんでいる様子。
まずは間渡し竹を仕込み、それを軸にして、棕櫚縄で割った竹をくくりつけていきます。
これも子どもたちが手伝ったのですが、指が小さいためか、とても器用に作業していました。

1日目終了!
作業が少しオシてしまい、本日終わらせる予定の竹小舞作業は明日へと持ち越しとなりました。

■2日目(9/24)

引き続き朝から竹小舞作業。
昨日経験しているので、俄然作業速度が上がりました。

竹小舞作業完了の様子。
竹小舞の状態だけでも美しい!
竹の隙間からこぼれる光の表情がなんともいえません。
このままとっておきたいと思うほどです。

竹小舞作業が終了したら、今度は荒壁土塗り。
子どもも大人も、素手で泥をつかんで、手で塗りつけました。
正々堂々と泥んこ遊び。
子どもたちは大張り切り。
これが大人もなかなか快感なのです。

所狭しと群がる子どもたち。

荒壁土を室内側から塗りこみ、それを屋外から眺めた様子。
これはこれで美しい!
やはり泥は本能をくすぐります。

概ね完成!
なかなかの仕上がりです。

・・・・・

伝統構法による小屋(直売所)作りのワークショップは、これにて完結です。
しかし、楽しそうにかつ真剣な眼差しで作業している参加者の方々の様子を見て、またどこかでこうした機会を作りたいと思いました。

こうした機会を作ることにより、とくに子どもたちが作業を体験することによって、日本の古きよき建築技術が見直され、実際に手でモノを作る職人への敬意へとつながっていけば、と思います。

そして、我を忘れる作業、完成したときの達成感と誇り、共同作業を通じて得ることのできた仲間…、みんなで行うたてもの作りは、そもそも楽しい!

ということで、またどこかでみんなで作りましょう!

2006年8月11日

たてもの楽入門 第1章

8月6、7、8、9日と、4日連続で、みずがきランドにて山仕事塾を開催しました。

今回の山仕事塾は、
山梨県北西部の山の奥、
9尺×6尺という小さな小さな小屋を、
近くで伐採したカラマツを使い、
日本の伝統的な木組みにより、
地元の大工さんの指導を仰ぎながら、
参加した皆さんの手で作ってみよう!
という試みです。

それに加えて、大工仕事を始める前に、目の前にある材木の出生のヒミツを探るべく、森の中に入って山仕事を行い、また作業後は、地元の方の昔話などを聞いた後、山を元気にするにはどうしたらよいか、みんなで知恵を出し合いました。

地元の方々の多大なる協力と、
現地NPOスタッフの尽力と、
参加者の温かい輪の中で、
実に感動的で充実した日々でした。

世界は広く、どこまでも深い。
だけど、楽しみたい、楽しませたい、という、人として素直な気持ちを表現すれば、少しずつかもしれないけれど、世界は変わる。
手を動かせば何かが動き、
手と手は人をつなげてゆく。
そしてよい仕事をした後の誇りと爽快感。

たてもの作りとは、それらを身をもって実感できるとてもよい機会だいうことを、自分自身、改めて気づかされました。

さらには、身近な場所で採れた食材による、美味しいごはんの日々!
そこは紛れもなく、人としての幸せが凝縮された世界でした。

■1日目

どこかで見た作業。
そう、焼杉作りです。

ゆらりとした時間の中で、子どもも働きます。

泥の攪拌。
昔から子どもの仕事。
30分ほど、子どもたちはぐるぐると泥のプールの中を歩いてました。

下の小川で川遊び。
水は思いのほか冷たく気持ちよく、この季節たまりません。

おやつをダッチオーブンで料理。
それ用の薪を作っているところです。
こどもが薪割りにはまっていました。
そういえば、これも昔は子どもたちの仕事でした。

■2日目

地元の方(猟師さん)の指導を仰ぎ、除伐作業。
1時間余りの作業でしたが、汗が滴り落ちる、なかなかしんどい作業でした。

今、この山仕事の手が全然足りていないそうです。

大工仕事、前夜祭。
NPOの若者達が育てた野菜を中心に、バーベキュー。

■3日目

地元の大工さんの多大なる協力と指導を得て、参加者みんなで大工仕事。
道具の使い方や、昔の大工の世界など、大工仕事に関するいろいろなことを熱く語ってくださいました。

さっそくノミで材木の加工。
皆さん、丁寧に仕事をするので、なかなかのデキでした。

大人が作業に没頭している間、
子どもたちは、端材で積木遊び。
木というものは、どこまでも使えます。

いよいよ組立。

徐々に組み上がっていきます。
実に順調です。

ついに、その日中に上棟してしまいました。
どんなに小さくても、上棟は感激します。
皆の手によるものならば、なおさらです。

■4日目

最終日、大工仕事の続きを行う予定でしたが、雨模様だったので急きょ予定を変更し、NPOの若者達が育てている畑を訪れ、朝採り体験。
これはこれでたいへんうれしい。

付近の散策の途中見つけた炭焼小屋。
昔は、この集落に住む人たちは皆、炭焼で生計を立てていたようですが、炭焼小屋もわずかとなってしまいました。

雨も上がったので、通し貫。だけ入れました。

■番外編

何しろ、美味しいごはんに恵まれた日々でした。

ダッチオーブンでおやつやごはん。
野菜の旨味が引き立ちます。

ダッチオーブンで作ったポテト。
うまい!

そこでは、養蜂をやっています。
そのハチミツ。
売っているものに比べて、コクと香りがぜんぜん違います。
これまたうまい!

そこで飼っているヤギの乳によるチーズ。
S藤さんが作りました。
これがまたうまい!

最後、お別れのとき。
4日間があっという間でした。
去るのはつらく、後ろ髪引かれる思いでしたが、来月またやるということで。

今度は、竹小舞と泥付け。
今から楽しみです。

2006年6月16日

実は

子どもの頃からカープファンなのです。

そういえば今日、来月上海から帰ってくるK田の家の畳を上げていたら、畳の下から昭和63年4月のスポーツ紙が出てきました。
すると、カープ「連勝街道」の記事が。
当時は地味に強かったのです。
(しかしこの年の優勝は確かドラゴンズ)
当時のすばしこくてかしこい野球、戻るとよいなあ。

その他の記事にも、作業の手を止めて目を通してみました。
すると、原選手、落合選手、シブガキ隊などの姿が。
18年の年月を感じてしまいました。

2006年6月5日

山仕事塾そろそろ、そして山は穢れを清める

昨日はN邸の柿渋作業を午前中で切り上げて、午後山梨に向かう。
須玉IC近くの古民家にてNPO法人えがおつなげての総会に出席した後、みずがきランドに行って、地元の大工と来月から始まる山仕事塾の下打ち合わせを行った。
山仕事塾で何をするかというと、農産品直売のための小さな小さな小屋を、昔ながらの構法と地元の資材で、夏から秋にかけて、興味ある方々の手で作ろうという試みだ。
しかし興味ある方々で作るとはいえ、やはりプロの手助けがいるであろう、ということで、地元の大工に協力をいただきたいと思い、O黒さんを通じて打ち合わせをお願いした。
小さな仕事だが、興味を持っていただいたらしく、いろいろ話に花が咲いて、結局打ち合わせ時間は2時間半にも及んだ。
やはり昔ながらの構法というものは、職人魂を刺激するのだろうか。
またまた、面白い仕事になりそうです。

ところで、朝の柿渋作業時から何だか身体が重い感じがし、大工さんとの打ち合わせが終わった頃は不自然な寒さを感じたので体温を測ってみると、‘みそぎ’のお知らせだった。
この体調では約4時間の道のりを帰る自信がなかったため、O黒家の家にお世話になることにし、早々に就寝。
おかげでゆっくりと十分にみそがせてもらった。
今朝はまだ体調万全というわけではなかったが、それでもだいぶすっきりした。
それにしても、黒森の朝は静かで気持ちよい。
この季節にしては肌寒い感じだったが、それがむしろ凛とした感じがしてよい。
気持ちよいのとまだ頭がフラフラするのとで、もう少しゆっくりしたいところだったが、昼前に横浜の現場で約束があったため、8時前に帰路につくことにした。

みずがきランドの皆さん、ご心配をおかけしました。
おかげさまでたいへん助かりました。
日本の古きよき姿を見たような、そんな気がしました。

目の前のものの使い道を考える


私の属するNPOの活動拠点の一つ、山梨県北杜市の山奥にある山村に行ってきた。
標高が高いので寒いだろう、と覚悟していたが、ここももう春だった。
いつもながら、土地もそこで活動する人たちも気持ちいい場所だ。

さて、その施設の周りの山は、カラマツの植林地。
日本中どこでもそんな状況だが、手入れはあまり行き届いていない。

カラマツの森というのは、スギ・ヒノキの森と違って落葉するし、葉の色がそれらよりも淡い緑なので、森に居て何となく明るい感じがする。
しかし森の雰囲気は良いのだが、材となると一般的に言えば建築ではあまり使われない。
私は軸組に使ったことがないので聞いた話だが、非常に‘やんちゃ’な材で、あっち向いたりこっち向いたりして、とても使いづらいそうだ。
さらに今の森の現状では、建築で使うにはかなり木が細すぎる。
じゃあ、薪などで燃せばいいじゃないか、と思うが、カラマツは脂っ気が多いので、薪には向かない。
だから山に手を入れたとしても材の需要が少なく、高く売れるわけではないので、ますます山に手を入れる意欲がそがれるのであろう。

しかし、そんな状況だからこそ、何か良い手はないか考えてみたいのである。
このままにしておくのは、もったいないではないか。
目の前にこのようにしてたくさんあると、余計にそう思う。
地元の製材所の意見を聞いたりカラマツの歴史をヒモ解くなどして、使い道をいろいろと考えてみよう。

とはいえ、カンカンに乾燥させてシュウセイ材やゴーバンといった面白くない道では考えたくない。ケーザイだけ考えればそれが手っ取り早いかもしれないが、ケーザイのことだけ考えた世界は、結局取り合い、奪い合いの世界になるので心がスサむ。せっかくのこの気持ちよい場所がつまらなくなってしまう。
カラマツを使って人と人とがつながるような、そんな使い道を考えてみたい。

山を歩いた帰り道、黄色い花をつけた木を見つけた。
何か明るい灯が見える兆しだといいな。

2006年1月9日

「自分」を得るために


私が属しているNPOにて、「フリーター・団塊フェア」が開催された。
これから大量に定年者を迎える団塊世代、フリーターが400万人以上と言われているが、その主力をなす団塊ジュニア世代。
彼らの仕事の受け皿として、就農林機会を考える、というイベントだった。

壇上に立った人の話を集約すると、「田舎は決して理想郷じゃないけど、だけど実際身体を動かしてやってみようぜ」という内容で、とても共感した。

‘書を捨てよ、町へ出よう’

それが実際に仕事に結びつくかどうかは本人次第だけど、生産の場を身近に感じる機会を作っていくことは、社会的に非常に意義のあることだと思っている。

今回の議論は農林業の話が多かったけれども、建物づくりの職人の話も同様だ。
このままでは、地域に根ざした素晴らしい建築技術が廃れていってしまう現状に対し、今日の話はとても参考になったし、勇気付けられた。

そして個々人にとっての「仕事」の意味と意義を改めて考えさせられた。
今日壇上に上がっている人たち、あるいは紹介された人たちを見ていると、いずれも自分の生き方に強い信念と確信を持ち、迷いのないすがすがしい姿であった。

今の時代、確かに仕事の選択は自由だ。
さらに、社会のしくみが巨大化し、複雑化し、細分化された今、自分の働いた成果、自分に対する評価を感じる機会が少なくなっている。
その分、自分の存在価値をどこに見出したらいいのか、一体自分は何に向いているのか分かりづらくなっているし、「自分探しの旅」に相当労力と費用が費やされている。
そして「自分探しの旅」の猶予期間を少しでも得るために、「フリーター」や「ニート」という現象として顕在化しているのであろう。

そうした状況の中で、生産の現場に出て、自分仕事、作ったものが目の前で評価され、喜ばれる体験をする場や機会を作っていくことは、「自分」を見つけるきっかけとして、大いに期待している。

そんなわけで、「きらくなたてものや」でも、品質や工程に影響のない範囲で、家づくりの現場で職人たちの息づかいを生で感じ、そして自分で手を動かしてみる機会を作っていきたいと思っている。

自分も「自分探しの旅」を迷いながらし続けたクチだ。
その結果、「伝統構法による家づくり」、「コーポラティブ方式」という帰着点を得たのだ。

追伸
昨日廃材で作った道具は、本日のイベントの札掛け用のものでした。