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2006年10月18日

価値と金額は比例する

カテゴリー: 今日のできごと


東京へ出る用事があったので、先日の‘木に囲まれた音楽会’で知り合った方の下へ、ピアノを見に行きました。
‘木に囲まれた音楽会’に触発されたこともあり、ここのところ本物のピアノが家にあるといいなあ、と思っているのですが、この方は江戸川橋にあるピアノパッサージュというお店で「本物」のピアノを商っているのです。

いろいろ試し弾きさせていただきましたが、やはり本物のピアノはよい!
やはり電子ピアノとは比べ物になりません。
そして発する音の響きといい、指先の感覚といい、ピアノの上に置いてある値札の金額に比例するような気がします。

よいピアノは適度に古くて空気に馴染んでおり、また使っている素材も、一般的な無垢の木の家具と同様に化学系の塗装が施されてはいますが、ちゃんと広葉樹の無垢板です。
仕上げが木目調なので、家の内装にも合いそうです。

一方で、よく見かける安くて黒いピアノは、随所に合板やプラスティックが使われていることを知りました。
むしろ、音よりも価格を合理化するためにそのような素材を使っているとのことです。
家もそうですが、現代の普及品の宿命なのでしょうか。

それにしても、やはり本物の木の響きは、違います。

極めつけは、これが2〜3台分で家が一軒建ってしまいそうなほどの値段を付けていた、百数十年以上前のスタインウェイのピアノ(写真)。
恐る恐る、指一本で一つの鍵盤を鳴らしてみましたが、
おおっ、何という響き!
魂を揺さぶられるような、幻想的な響きを発します。

ピアノの価値は、音の響き。
その価値が金額として素直に表現されているようですね。

さて、これからどうするかは、これから考えよう。

2006年10月16日

端材屋

カテゴリー: 今日のできごと


木の建物作りの仕事をしていると、半端な材がたくさん出ます。
構造材となる角材や平角材、板材や下地板、造作材、他にはもう使い回せない、いろいろな種類の半端な切れ端がたくさん発生します。

本来、捨てるものなのかもしれませんが、それを捨てるのは忍びないので、いろいろ使ってくれる人たちを探しては配ったり、あるいは自分の家などにためて置いています。

使おうと思ったら工作用に案外使えるし、子どもの遊び道具にもうってつけ。
余ったら、燃して燃料にすればいい。
何に使うか、想像するだけでも楽しいものです。

せっかく伐った木なのだから、とことん使いたいですね。

ということで、最近いろいろなところで端材を見つけては車に積んでいるので、車の中は木だらけ。
すっかり‘端材屋’です。

2006年10月11日

始まりの光

カテゴリー: 今日のできごと


朝早く起き、起きるなり机に向かって事務仕事を行うのが今や日課になっています。
机の東側には摺り硝子入りの木建具があるのですが、硝子から透過して来る朝の光で、季節と、今日一日のお天気の様子を察することができます。

今日は朝から眩しい光が燦燦と差し込んできました。

眩しい光を身体に浴び始めると、寝起きで眠い頭が、何故か晴れ晴れとしてきます。
朝の陽を浴び、一日が始まります。

辺りも静かだし、大好きな時間帯の一つです。

2006年10月10日

新たな家族

カテゴリー: 今日のできごと


申し遅れましたが、一昨日、我が家に新た‘家族’ができました。

彼はとても元気で、止まることを知りません。
そして人懐こく、というか甘えん坊で、常に誰か人の後をついて回っています。
ただでさえ賑やかな我が家が、いっそう賑やかになりそうです。

2006年10月6日

雨の中動く世界

カテゴリー: 今日のできごと


今日は一日雨。
こんな日は、家に篭ってひたすら作業、といきたいところでしたが、午後から現場で検査や打ち合わせ等々。

途中から風も強くなり、傘が折れるほどの荒れた天気。

しかし現場は、いつもの通り、動いています。
合羽を着ながら、雨に打たれて働いています。

工期が差し迫っていることもありますが、ほんとうにおつかれさまです。

ところで、現場の一角に、生きてきた形そのままの木が数本今日届いていました。
今にも動き出しそうな、生き物のようです。

雨の中でも、世の中は動く。
動かしている、人たちがいる。

2006年9月18日

木々と戯れ、気合の音楽

カテゴリー: 今日のできごと


昨日は夕方、焼杉作業をしていた厚木の材木屋から飯能の材木屋へ。
目的は、木々に囲まれた空間の中での音楽会。
プロのピアニストが連弾でピアノを弾くというので、その音と空間をぜひ体感したいと思い、行くことにしました。
がしかし、東名が渋滞、また所沢から入間あたりまで渋滞で、ななんと4時間も…。
せめて19時過ぎには、と思っていたのですが、夜20時10分過ぎに到着。
17時に始まった音楽会はもうお開き手前で、パラパラと何人かの人は帰路についていたほどでした。

残念!この木霊を宿すような見事な‘木の建築’の中で、すばらしい演奏を聴きたかった…

まあ、仕事の用事もちょっとだけあったので、よしとするか。

その代わり、感動の余韻の残る会場で、延々23時までピアノを弾き続け(させられ?)ました。
最初はお遊び程度にポロンポロンと弾いていたのですが、この場所の主であり、今回の企画者のKさんに気合を注入され、自分も気合の演奏に。

やはり、演奏も建築も、そして人生も、気合です。
指先、手先だけではない、腹の底から沸き立つ力。
この空間と居る人たちに触発され、興奮冷めやらないボクは、帰りの車を走らせながら、
「気合だ」、とそう叫ぶのでした。

2006年9月17日

蛙の居心地

カテゴリー: 今日のできごと


材木屋の一角に、焼杉用の板を桟積みしています。
焼くために1枚1枚はがしていくと、蛙によく出会います。
今日も会いました。
見つけるたび、草むらに帰すのですが、しばらくすると、また居ます。
今日は、自分でどこかに跳んでいってしまいました。

板と板の隙間は、蛙にとって居心地がいいのかな?
確かに、外的から身を守ることができ、落ち着いて生活できそうです。

焼杉作業も、あともう少し。

2006年9月16日

木の建築塾の一行、初秋の葉山へ

カテゴリー: 今日のできごと


昨日池袋にて、私たちのピスカリアにまつわる話を聞いていただいた一行は、本日葉山まで足を運び、実際にピスカリアを見学しました。

ピスカリアを1時間ほどで見学した後、海まで散歩、そしてピスカリアで食事。

食事の後は、昭和期の大建築家が設計した、小高い山の中腹に立つモダニズムと和を融合した見事な空間を堪能してきました。
枠の納まりといい、建具といい、美を追求するということはこういうことかと、一同感心しきり。
しかし私は、今朝訪れた、誰が設計したというわけでもない、生活の匂いが凝集された古い民家の空間のほうが、好きだなあ。

ということで、見学会というよりは、葉山で皆さんと楽しいひとときを過ごす、交流会といった風情でした。

2006年9月15日

大工とともに伝統構法を語る

カテゴリー: 今日のできごと


今日は、06木の建築塾〜伝統構法で‘今’を表現する〜の初日。
豊島区勤労福祉会館にて、杉原建築の杉原さん、ピスカリアの棟梁、同じく杉原建築の後藤さんとともに、約2時間お話しする機会をいただきました。
まずピスカリアが作られてきた過程を私のほうから説明し、その後作っている間の感想などをそれぞれ語りました。
最後は当時の楽しいできごとを、まるで聴衆がいることを忘れているかのように、三人で思い出を語るような感じになりましたが(苦笑)。

伝統構法を手段として、建て主さん、多くの職人さんたちと仕事を楽しんだどころか、こうして大勢の方々の前でお話しする機会をいただきまして、ありがとうございます。
このような機会をいただくことで、伝統構法はかくも楽しく、心地よい空間を仕立てる可能性があるということを、少しでも伝えていければと思います。

2006年9月14日

そうか、職人の血が流れていたのだ

カテゴリー: 今日のできごと


今朝、鎌倉の市街地にある金物屋に所用で足を運びました。
その金物屋は、私にとって初めての、しかもメーカーから教えてもらった偶然のお付き合いでした。

用を済ませた後、その金物屋のおかみさんとしばらく話をしました。
ひょんなことで、昔長谷で板金職人だった私のじいさんの話になったのですが、なんとそこのおかみさんは、私のじいさんのことをよく知っているようでした。

「そうかー、あの人は厳しい職人だったのよー」
「ほんとに職人気質の人でね、ああいう人が職人っていうのよー」
「組合のためにも、いろいろやってくれたのよー」

私はじいさんの仕事ぶりを知らず、じいさんをじいさんとしか見たことがなかったので、なんだか不思議な時間旅行に行った気分でした。

そして、
「あの人のお孫さん?顔似てるわー」

机の前に居るより工事現場。
工事現場に行くと感じる、設計者として何も手を出せないもどかしさ。

そうか、私にはやはり職人の血が流れていたようです。

私がこうして職人たちと対話しながら建築作りの仕事をする道を選んだことは、偶然のことではありますが、何か因縁めいたものを感じました。

それにしても、です。
故郷に根を下ろして動いていると、いろいろ面白いことがあるなあ。