2013年5月5日
今日は立夏。
大好きな夏が始まりました。
立夏といえば、
二十四節気の一つ。
一、二、三…、で示される暦は、
数えやすくて便利かもしれませんが、
こうして宇宙を意識し、
言葉で表現する暦も
大事にしたいですね。
さて、
暦の話に触れたついでに、
少し暦と私が携わる建築の話を
しようと思います。
かつて建築と暦は、
とても縁の深いものだったと
思われます。
今でも地鎮祭や契約の日は、
なるべく大安の日など、
縁起のよい日を
厳選する傾向がありますね。
しかし建築が、
とりわけ住宅が
あっという間に建ってしまう
この時代、
暦との関係は、
以前に比べて
希薄になりました。
それは工期が短くて、
そんなこと考えている余裕がない!
ということもあると思いますが、
それに加え、
今の建築に使う素材のほとんどが、
‘生命’を感じるものではなくなった、
ということも
少なからず関係していると思います。
一方で、
かつて私たちが暮らす
風土で育まれた建築は、
木や土や竹といった
‘生命’ある素材で
作られていました。
そのため、
例えば木や竹といった植物は、
秋冬の生命活動が静かな季節、
しかもできれば、
下弦の月から新月の間までという
月の暦も加味して、
生命をいただく日を決めました。
そしてこれから数十年以上続く、
新たな生き方の「慣らし運転」として、
伐ってから使うまでに
一定期間以上の時間も必要です。
また生命の源の一つである
土に目を向けてみると、
季節の変わり目である「土用」の時期に、
土を掘り起こすことは、
できるだけ避けるようにしてきました。
さらに壁に塗る土は、
凍結の恐れのある
厳寒期に塗ることは、
ご法度です。
このように、
生命をいただくにあたっては、
それを活かすのに
相応しい季節というものがあって、
それを踏まえると、
何時頃工事を始めて、
何時頃上棟したほうがよい、とか、
それほど厳密ではないにしても、
「建築の歳時記」というものが
見えてくるような気がします。
だから先人たちは、
建築という祭の儀式の日取りの吉凶を
暦の中で詳しく定めたのだと思います。
そしてこの
「歳時記」への意識。
建築だけではなく、
暮らしのどの分野においても、
四季豊かなこの日本において、
四季を楽しむ、暦を楽しむ、
四季と対話する、暦と対話する、
これが結果的に
暮らしの合理性を生み、
暮らしの中で使うエネルギーを減らすことに
つながるのではないかと考えています。
これもエネルギーカフェを通じて
学ばせていただいたことの一つです。