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2013年1月15日

落花生をかみしめる

カテゴリー: 今日のできごと

温熱環境の調査の説明のため
伺ったお住まいで、

薪ストーブで炒った
落花生をいただきました。

昨年もいただいたのですが、
これがカラッとして実にウマイのです。

これをいただきながら、
木と土でできた家の
冬場の住み心地の話になりましたが、

ストーブを焚くのは
基本的に朝夕だけで、
一日冷え込むことのない
家の中の様子に
本当に満足されている様子でした。

そしてこうした家が
「改正省エネ法」のもと
窮地に立たされている話をしたら、

たくさんの応援の言葉をいただきました。

こうした住まい手の
実感のこもった言葉は、
本当にありがたいです。

この応援を背に、
木と土は、
内と外を「断つ」力は
それほどでなくても、

知恵を活かし、
適切に使えば、

様々な要素が作用して
私たちに心地よさを
与えてくれる力を持っていることを、

訴え続けていこうと
改めて思いました。

「絶滅危惧種」だけど、

土に還って
なお美しく生き続ける、
この落花生のような
生命力を信じて。

2013年1月12日

2013きらくな新年会開催

カテゴリー: 今日のできごと

本日は毎年恒例、
ピスカリア営業初日の夜に行う
きらくなたてものやの新年会。

忘年会が職人同士の
横糸を紡ぐ場だとすれば、

新年会は歴代の建主同士、
つまり縦糸を紡ぐ場。

それぞれの家づくりの物語を肴に、
とても楽しいひと時を過ごしました。

またここ最近、
木と土が主原料の伝統工法の
温熱環境の実際が

伝統工法の未来に向けて
重要性を帯びていますが、

そんな中で建主さんの
住まい心地に関する
生の声を聞くことができたことは、
今後の励みになりました。

本日のおしながき。

本日の前菜。
やはりどれも
感動的においしい!

イタリアの地図に興味津々の
町田か邸の‘そ’ちゃん。

毎回恒例、記念の集合写真。
シェフの出雲さんと、
歴代の新年会の集合写真を
集めて飾ろうか、
なんて話をしました。

2013年1月7日

かかとを下ろす準備

カテゴリー: 今日のできごと

新年にじっくり
新聞を読んでいると、

昨年の人口動態の
年間推計に関する記事

見つけました。

驚いたことに昨年は、
1年で約20万人も
日本の人口が減ったとのこと。

鎌倉市の人口よりも
多いのではないでしょうか。

しかしそれは、
憂うべき状況、というよりは、
日本の国土が
持続的に養うことのできる人の数に
戻りつつあるという
ことなのかもしれません。

それとその記事を見て、
離婚件数の多さにも
驚いてしまいました。

結婚しても、
1/3は離婚するってことか…。

人口が減り、
家庭も不安定となれば、

家庭の器となる
家づくりの数が減ってくることは、
火を見るより明らかなことです。

住宅産業だけでは
ありませんね。

人口が減ればそれだけ、
食べ物も家電製品も
100円ショップもブランド品も、
売る相手が減るわけですから、
単純に経済が落ち込みそうな
気がします。

しかし一方で新聞を見ると、
政権が変わって
経済成長に対する期待に
満ち溢れていますし、

現にそういった胎動が
感じられるように
なってきているそうです。

景気がよくなって
みんなが元気になることは
いいことだと思うのですが、

しかし人口が減って
経済が成長するってことは、

やはり社会のどこかに
無理をさせていやしないか。

政策という名の
「カンフル剤」を打ち続けて、
息も絶え絶え、
生き延びているだけで、

薬が切れたら、
一気にガタガタと崩れて
身体が壊れてしまう、
ってことはないだろうか、

まるで風船が膨れるだけ膨れて、
空気の許容量を超えて
いつかバンと破けるように。

と、単細胞であまのじゃくで、
木と土のことばかりで
経済のことに疎い私は、
そのように思うわけです。

それに対して
人口が減ることが
目に見えているのであれば、

いつか私たちは、
経済の規模が
小さくなっていくことを受け入れて、
その中で幸せに生きるための準備を
始めたほうがいいと思うのですが、
いかがでしょうか。

それは決して
後ろ向きに歩く、
ということではありません。

背伸びして背伸びしすぎて
フラフラになって
倒れそうになっていたところ、

足の裏全体を
しっかりと大地につけ、
足元を固めて
前へ歩いていくイメージです。

例えば、
生きていくために必須の、
そして笑顔を増やしてくれる
食べものの世界を
質、量ともに豊かにする、とか、

エネルギーや住まいなど、
暮らしに必要なものは、
身近な地域で持続的に
供給できるようにする、とか、

そんなことにもっと、
力を入れていきたい、

そんなふうに思うわけです。

そうなれば
経済が落ち込む、というよりは、
ワクワクするのですが(笑)

2013年1月5日

‘ジャムおじさん’になって思う

カテゴリー: 今日のできごと

昨年末に何度か
柑橘類をいただいたりしたので、
そのたびにジャム作りに
取り組んでみました。

自分が作ったジャムは、
自分が手間をかけただけに、

おいしい、などといった
言葉では言い表せない、
格別の味がします。

他人が食べれば、
まあきっと、
それほどでもないかも
しれませんが(笑)、

ともあれ実際に作ってみて、
原材料はいたってシンプル。

果物と、
近所のオーガニックショップで買った
粗製糖のみ。

一方で、
お店で市販されている
ジャムの原材料が気になって
コンビニで調べてみたら、

それ以外に3、4種の原材料が
書いてありました。

いわゆる添加物ってやつです。

家に帰ってそれらを調べてみたら、
人体への危険度が著しく高いとは
限らないようでしたが、

しかし使わなくてもできるものを
あえて使うということは、

使わなければならぬ理由が
何かあったということです。

素材にばらつきがあっても
品質を均質化するため。

遠くまでの
輸送に耐えるため。

長期にわたる
保存に耐えるため。

お手軽に
美しく見えるため。

そんなところかと思いますが、

つまりは不特定多数を相手に、
大量に売ることができるような措置、
ということができるのではないでしょうか。

地球上には何十億人という
人が暮らしているわけですから、

みんなが食べていけるように、
そういったたくさんの量を作り、
売るということは
必要なことなのかもしれません。

そこには
消費者に対する配慮と愛情も
あるのだと思います。

しかしそうはいっても、
何かを犠牲にしていることには
違いないと思うんですよね。

コンビニ等で売られている
食べ物や飲み物を見れば、
添加物が入っていないものを
探すことが難しい時代。

ジャムに関しては
たまたま危険ではなかったにしても、
その中にはやはり、
身体に対して
あまり望ましくないものが
含まれています。

個人的には、
「アミノ酸」(=化学調味料)と
乳化剤と人工甘味料は苦手だなー。

おいしいと思えないし。

このように
おいしさよりも、
経済を優先する時代。

あるいはそれを
おいしいと思いこませる時代。

考えてみれば、
それは現代のものづくりの仕組みの
一端とも言えますね。

私たち建築の世界も
思い当たることが多々あります。

私たちは現実的に
そういった仕組みの中で、
取り引きせざるをえないことも
あろうかと思いますが、

しかし一方的にその仕組みに
身を任せるのではなく、

顔の見える相手に、
手と足をふんだんに駆使して
何かを作る時間を、
少しでも確保しようでは
ありませんか。

おいしさのために、

心地よさのために、

そして、

ジャムおじさんが出ている
歌にもあるように、
‘そうだ、うれしいんだ、生きる喜び♪’を
感じるために。

手間かけても、
手間かけなくても、

一度だ、生きるのは。

2013年1月4日

風景と心地よさを高める

カテゴリー: 今日のできごと

新年あけまして
おめでとうございます。

皆様のお正月は、
いかがだったでしょうか。

私はお正月ならではの
ゆっくり流れる時間が好きです。

私はその流れの中で、
親戚の人たちと酒を飲んだり、
音楽聴いたり本を読んだり、
テレビで駅伝やラグビーを見たり、

普段なかなか味わえない時間を
過ごさせていただきました。

とともに、
ゆっくりとした時間が
あったからこそ、
今年一年の計を
考えたりもしました。

もちろん、
伝統に学び、
身近な素材を活かして
心地よい現代の空間を
作る取り組みは、
生涯仲間たちと
続けていく所存です。

しかし昨今の社会の状況を見ていると、
やはりエネルギーに関することにも
取り組んでいく必要性を
強く感じております。

効率よくエネルギーを
使っていきたい。

自然エネルギーを
活用していきたい。

そんな思いが
募るばかりですが、

それが浸透していくためには、
デザインが果たす役割も
大きいと思うのです。

いや風景になじんだ
エネルギーの世界に
なってほしい。

例えば太陽光発電にしても、
太陽熱温水器にしても、
風力発電にしても、

それらがある風景は、
どうあるべきか。

それらを作る素材は、
近現代的なものばかりですが、

土に還る伝統的な素材と
風景の中で如何に両立させるか。

そんなことを考えながら、
エネルギーの分野に
もっと踏み込んで
考えていこうと思います。

また建築自身も、
エネルギーや
概してエネルギーを
たくさん要して作られる断熱材を
あまり投じることなく、
如何に心地よい空間を提案するか、

そのことにもっと貪欲に
取り組みたいと思います。

時代を感じつつ、
時代に翻弄されない
「美しい風景」と
「心地よさ」を得るために。

昨年から開催している
エネルギーカフェもその一環です。

それでは今年も
よろしくお願いいたします。

2012年12月27日

未来永劫一蓮托生

カテゴリー: 今日のできごと

今日はきらくなたてものやの
大忘年会。

ほとんど全ての職人を交えて
酒を酌み交わしました。

本当に最高の仲間たち。

未来永劫一蓮托生です。

2012年12月9日

身も心もあたたまる竹取物語でした

カテゴリー: 今日のできごと

12月に入って寒い日が続きますが、
今日はとりわけ寒い日。

なんでも近畿地方は、
初雪が降ったとか。

それほど寒かった
まもなく新月の今日、

きらくなたてものやは
大磯の某里山の一角で、
竹伐り隊を結成しました。

もちろん青空の下での
作業でしたが、

身体を動かしていると
寒さを忘れてしまうほど。

そしてお昼ごはんや
おやつの時間になると、

その寒さを思い出すのでした。

さて、今日の参加者は、

建主の‘み’さんご夫婦、

‘み’さんのお母さん、

‘み’さんの奥さんのお父さん、

最近ワークショップに
よく来てくださる‘う’さん、

町田か邸の建主さんたち
3名+子ども1名、

埼玉の遠方から
町田か邸の建主さんのご両親、

鎌倉か邸の親子、

午後から二宮し邸の建主さん、

そしてきらくなたてものやから3名、

合計15名+子ども2名と
賑やかに作業を進めました。

来てくださった方の
属性を見ていただくと
分かると思うのですが、

そのほとんどが建主さんOB、
または現在進行形の建主さん。

しかも偶然、
杏工匠が棟梁を担当する
建主さんばかりでした。

実は今回、
直前まであまり人数が
集まっていなかったのですが、
昨日にきて急増。

こうした場に来ていただく方は、
等しくありがたいと思うのですが、

いざという時の
建主さん同士のつながりは、
本当にありがたく思います。

そんな皆さんのおかげで、
今日は必要な本数の竹を伐り、

また必要な本数の割竹の
ちょうど半分を作ることができました。

参加された皆さん、
星空が見え始める頃まで
たいへんおつかれさまでした!

朝は、竹林で竹を伐り、
伐った竹を田んぼに下ろす作業。

カキシブ隊では
子どもたちが印象的ですが、

竹伐り隊で元気なのは、
おじいちゃん、おばあちゃんたち!

昨年もそうでしたが、

今年も年齢を感じさせないほど、
軽やかに里山の中を
動き回っていました。

お昼ごはんは、
建主さんお手製のおにぎりと豚汁と
おかずの数々。

美味さとあたたかさとありがたさが
五臓六腑に浸み渡ります。

二宮し邸の‘し’さん。
竹を割る姿は、職人そのもの。

毎回来てほしい…(笑)

暗闇に包まれた里山の中、
最後みんなで
星空を見上げました。

その美しさも相俟って、
みんなで上を向く
この幸せな空気感は、
きっと生涯忘れません。

2012年12月3日

砂上の楼閣

カテゴリー: 今日のできごと

昨日の朝、中央自動車道の笹子トンネルで、
たいへん痛ましい事故が起きてしまいました。

命を落とした方が、
9名もいらっしゃるとのこと、
心よりご冥福を
お祈り申し上げます。

私もここを通って
山梨に通い詰めていた時期が
あっただけに、

この事故は本当に心が痛みます。

事故の原因は、
天井支持部の老朽化とのことですので、

保守点検業務の改善が
望まれるところです。

とはいえ、です。

人間が作るものには
生きものと同じ、
永遠に命はありません。

しかもこうした土木の産物は、
地形が動けば壊れてしまうわけですから、

五十年百年の単位では
大丈夫かもしれなくても、

五百年千年の単位で見ると、
どうなるか分かりません。

昨年の三月のように、
「千年に一度」が、
明日起こるかもしれません。

たまに山の上で、
ここは大昔海の中だった、なんて
びっくりするような話を
聞くことがありますが、

それくらい地球は動く、
ってことです。

私たちはものを作る時、
できるだけ長い間、
生き続けてほしいと願いながら
手を動かすことが
多いと思うのですが、

しかし私たちの土台である
地球には逆らえません。

しかも、
幾ら保守点検に力を入れたとしても、
ものも「生きもの」ですから、
いつかは絶対に寿命を迎えます。

諸行無常。

私たち人間はここ数十年、
何かを作る時に、
そのことを意識してきたでしょうか。

住まいのほうは、
どうせ二十〜三十年で
ダメになってしまうから、
という心で、
作り続けてきたようですが、

それはさておき、
例えば道路、
例えばトンネル、
例えばダム、
例えば高層建築物、
例えば原子力発電所、

いくら丈夫に作っても、
永遠の命、

いつまでも絶対大丈夫、
ということはありえません。

そして巨大であればあるほど、
それらが寿命を迎えた時、
私たちに甚大な影響を及ぼします。

その後の廃棄物処理も、
想像するだけでたいへんそうだ。

悲しいかな、
私たちの暮らしは、
そのようなインフラに支えられて
栄えてきました。

そう考えると私たちは今、
堅牢に見えて脆い、
砂上の楼閣の上に
暮らしているということを
自覚する必要があるように
思います。

そう、昨日のニュースを聞きながら、
私の頭の中でつぶやいた言葉は、
「現代は、砂上の楼閣」。

そんな砂上の楼閣への依存から
少しでも脱却するために、

粘り強い、
地に足付いた暮らしの基礎を
改めて作り直していきたいですね。

2012年11月30日

木と光を魅せる改修

カテゴリー: 今日のできごと

伝統工法の仲間の職人たちと
先月から取り組んでいた

バリアフリー化を目的とした
集合住宅の改修がほぼ完了しました。

鉄骨造の集合住宅だろうと、
こうして「木を魅せる」ことによって、
見た目にあたたかみが増します。

今年の冬は寒そうですが、

また世間は何かと「戦闘」モードですが、

木で心をあたためて
ほしいですね!

ということで空間の様子を、
この場で紹介させていただきます。

奥行きがあり、
光の入りづらい廊下だったので、
建具や木格子の間から、
できるだけ光の射し込む廊下に改変。

内装に使う材も、
極力明るい色のものを
選びました。

新井さん作の建具。

軽やかに見えるように
上へ行くほど白太が増す木配りが
心憎いです。

また鏡板の板と板の間には、
一分ほど目透かしとなっています。

見た目のこともありますが、
これによって木の膨張、収縮により、
建具全体が極力変形しないためです。

ちょっとしたことに
思うかもしれませんが、
技術的には一手間かかる仕事です。

列柱が印象的な居間。

居間に面する硝子の建具を開くと、
廊下と居間と寝室が、
柱一本残して一体化します。

柱一本残る感じは、
「田」の字プランの
古い民家のようです。

安心して窓を開け、
また洗濯物が干せるよう、
格子で囲まれたウッドデッキ。

格子はヒノキで作りましたが、
建主さんの手で
柿渋コートを縫っています。

ウッドデッキ夜景。

作業最終日の今日、
建主さん親子と一緒に、
床に蜜蝋ワックスを塗りました。

大工も全面的にお手伝い。

また網戸納品のため
少し立ち寄った硝子屋も、
世間話かたがた、
養生貼りを手伝ってくれました。

仲間で仕事することの
楽しさとありがたさです。