時空のつながりを思う
今晩、神奈川公会堂で行われた
横浜しんさい市民ミュージカル
トキノキズナを観てきました。
友人が振付、
またその娘さんが出演するご縁で
観る機会をいただいたのですが、
歴史とは何か、
今を生きるとは何かを
考えさせてくれる内容で、
多くの皆さんに
観ていただければと思いました。
過去の精一杯の上に、
私たちの今がある。
だからこそ
伝統工法という手段に
活路を見出しているのですが、
伝統工法に取り組んでいると、
昔はよかった、と思いがちだし、
社会の仕組みも、
昔は循環型社会でよかった、
という声を聞くこともあります。
しかし昔は昔で
たいへんな時代で、
当時のなまなましい現実に
目を向けると、
決して「楽園」では
なかったと思います。
私が伝統工法に取り組むうえで
心がけているのは、
過去の経験や知識は、
今を生きる上で
たくさんのヒントを与えてくれるけど、
その再現を目的化してしまうと、
今を、未来を
見失ってしまうことがある
ということ。
つまり「伝統」は、
今を心地よく暮らすための
手段の一つであって、
決して目的ではない、
ということです。
あくまでも
大事なのは、今。
一方、
これは問題ではないか
と感じる事象が、
建築でも社会全体でも
あるわけですが、
しかしその存在には
必ず理由があります。
その存在を
やみくもに批判せず、
過去、なぜそれが産み出されたのか、
その背景に思いを馳せることにより、
今を、未来を、
考えるという姿勢が
大切なのではないかと
思うのです。
単なる批判だけでは、
決して物事が前に進むとは
思えないからです。
このように、
ミュージカルを観終わった後、
過去と今、過去と未来の
つながりを思いながら、
夜家路についたのでした。