スギとカワラの小さな厨房
神田え邸にて。
杉の箱に
壁を瓦で仕上げた
小さな厨房が
できあがりました。
ここにこもって
一枚一枚表情の違う
瓦と対話しながら
ジャム作りたいです(笑)。
神田え邸にて。
杉の箱に
壁を瓦で仕上げた
小さな厨房が
できあがりました。
ここにこもって
一枚一枚表情の違う
瓦と対話しながら
ジャム作りたいです(笑)。
神田え邸にて。
土間の照明器具は、
元々あった器具のデザインに近い
黒いマリンランプにしました。
そして器具への配線は、
元々Fケーブルが際を這い、
化粧モールをかぶせていたのですが、
改修を機に、
碍子引きにしました。
天井裏がなく、
かといって木を掘り込むわけにもいかず、
どうせ配線が見えるのだったら、
目立たないようにする、というよりも、
かえって配線を「見せる」
この碍子引きが好きです。
まだ電気などなかった時代に
建てられたたてものは、
その後目の前に電気がやってきて
後から電気を配線しなければならないという時に、
この碍子がよく使われていましたが、
今はほとんど
見かけなくなりました。
現代では、
電気配線の量と種類が
昔と比べて格段に増えたため、
碍子引きが難しくなった
という事情もあります。
しかし新築の場合でさえも、
電気配線が複雑でなければ、
(実は今ここが難しい)
デザインとして積極的に
取り入れたいとすら
思っています。
「隠れる」よりも、
「見える」ほうが
なんとなく安心感がありますしね。
ちなみに照明器具の台座は、
大工が用意したクリの板です。
神田え邸にて。
厨房の壁に貼るための
敷瓦の中に、
薄雲のかかった
満月の月のような、
美しい円の模様のものが
混ざっていました。
達磨窯で瓦を焼くと、
窯の中での火の当たり具合で
様々な偶然の模様が
出てくるわけですが、
これは偶然にしては
あまりにも美しい円なので、
壁に貼らずに
とっておくことにしました。
神田え邸にて。
今日は現場で
ちょっとした会合がありまして、
床の養生を剝がしたばかりの奥座敷で、
大勢で座卓を囲みました。
遠目にその様子を見たのですが、
なんだか昭和に戻ったような
懐かしい雰囲気を感じました。
さてその座敷には
床の間があり、
今日の会合のために
しつらえられていました。
そして床の間の真ん中に
鎮座していたのは、
解体途中に出てきた、
空襲で焼けた
黒焦げの柱でした。
空襲で焼けても、
当時の人たちがまだ使えると思って
改修して使い続けてきたわけですが、
まさかこういうかたちで
日の目を見ることになるとは、
当時の人たちも
予想ができなかったことでしょう。
それにしても、
この家の歴史を物語り、
そして引き続き
古くなっても
この家の歴史を
新たに作っていこうという
強い意思を
訪問者へ端的に伝える象徴として
究極の飾りものでした。
神田え邸にて。
現在23時過ぎ。
この時間でも、
トーキョーのど真ん中で
タイル屋の小澤さんが
まだ敷瓦貼りを
がんばっています。
自分が把握するかぎり、
晩ごはんも食べていません。
たぶんお昼ごはんも
まともに食べていません。
モーレツサラリーマンも
顔負けの仕事ぶり。
物静かに見える小澤さんですが、
かつては高校野球超名門高校のエース、
内に秘めた闘志を
垣間見たような気がします。
さて、先ほどから
ずーーと目地を撫でていますが、
目地が乾くまで
目地を整えています。
なかなか目地が乾かないので、
途切れずやり続けるしか
ないようようです。
はた目に見た感じでは、
もうそれでいいんじゃないと
思ってしまうのですが、
しかし小澤さんは、
納得のいくまで
手を動かし続けます。
だからですね。
1枚1枚表情もかたちも違う、
達磨窯で焼いた敷瓦が
面になると、
はっとするほど
美しく見えるのは。
瓦の背景にある物語、
またその美しい物語から
紡ぎ出される瓦そのものの
美しさだけではなく、
それを貼る人の手も、
十分に影響しているのだと
思います。
鎌倉よ邸にて。
今日は午前中、
「きらくなとそうや」してました。
外のウッドデッキに、
油系の塗料を塗る作業です。
外で作業するには、
これ以上ないというくらい
気持ちよいお天気で
よかったです。
ところで塗料は、
国内の会社が作っている
自然由来の原料なので、
いわゆるペンキのような
人工的な匂いではなく、
これで料理をしても
いいんじゃないかと思うほどの
香ばしい香りでした。
安全であろうとすることは、
心地よさをもたらすのだと
思います。
あるいは、
心地よい場を作ろうとすれば、
安全な素材に行きつきます。
神田え邸にて。
今日は玄関の建具が入りました。
今回の建具の意匠は、
昔の写真を参考にして、
如何に90年前当初の状態を再現するか、
そして単なる過去の再現ではなく、
そうした条件の中で
如何に今を表現するか、
そんなことを考えながら、
この現場に赴くたびに
どんな建具がいいか思い描き、
そして建主さんとも
話し合いを重ねましたが、
なかなか結論には至らず、
ようやくつい最近
たどり着いた結果の成果が
今日取り付きました。
そんな紆余曲折があっただけに、
今日という日が本当に感慨深いです。
建主さんも
すごく喜んでくれました。
ところでこれまで
この現場で何をしていても、
道行く人たちは
現場に目を向けることが
あまりなかったのですが、
玄関の建具を
建て込んでいる時は別、
道行く人たちのほとんどが
こちらに関心のまなざしで
目を向けていました。
木の建具は、
人々の関心を惹く
引力があるようです。